純命樹?
家に帰ると土が乾きはじめていた。観察を続けた結果、種が水分を吸収する時間は昼で二時間、夜で三時間ということが分かった。つまり、ほとんど家を離れられないのだ。いくら眠くても三時間後には目覚ましが鳴った。眠い目をこすりながら育児ノイローゼにかかっていた頃を思い出していた。
「思い出したくないのに…」
天気が悪くなればビニールハウスを買いつけ、疲労を心配して生命保険にも加入した。くる日もくる日も純命樹の世話にあけくれる毎日。順一のお見舞いに来るたび痩せていく母親に先生たちも心配になっていた。三ヶ月が経ったある日。
「今夜が山だ!お母さんに連絡を!」
順一の病状が悪化し、すぐに病院から自宅に連絡が入った。しかし、その時すでに母親は一通の手紙を残し、生き絶えていたのだった。
"庭の木に小さな実がついているはずです。どうか病院の順一に"そう書かれた手紙を見た占い師は庭の木に目をやった。するとそこには立派に育てられた純命樹がなっていた。「よくぞここまで…」占い師はすぐに実をさがしはじめた。するとそこにはふたつの実が育っていた。「双子ははじめて見た…」占い師はそのひとつを母親に、もうひとつは病院の順一に食べさせた。
それから数週間後。
「お母さん、お腹すいた〜」「はい、はい」「お母さん、また双子だね〜」
「私、よく当たるのよね〜」
卵を割ると黄身がふたつ飛び出した。親子は双子の卵を見ながら幸せそうに微笑んでいた。種だけにそれも一種の才能なのかもしれない。
「思い出したくないのに…」
天気が悪くなればビニールハウスを買いつけ、疲労を心配して生命保険にも加入した。くる日もくる日も純命樹の世話にあけくれる毎日。順一のお見舞いに来るたび痩せていく母親に先生たちも心配になっていた。三ヶ月が経ったある日。
「今夜が山だ!お母さんに連絡を!」
順一の病状が悪化し、すぐに病院から自宅に連絡が入った。しかし、その時すでに母親は一通の手紙を残し、生き絶えていたのだった。
"庭の木に小さな実がついているはずです。どうか病院の順一に"そう書かれた手紙を見た占い師は庭の木に目をやった。するとそこには立派に育てられた純命樹がなっていた。「よくぞここまで…」占い師はすぐに実をさがしはじめた。するとそこにはふたつの実が育っていた。「双子ははじめて見た…」占い師はそのひとつを母親に、もうひとつは病院の順一に食べさせた。
それから数週間後。
「お母さん、お腹すいた〜」「はい、はい」「お母さん、また双子だね〜」
「私、よく当たるのよね〜」
卵を割ると黄身がふたつ飛び出した。親子は双子の卵を見ながら幸せそうに微笑んでいた。種だけにそれも一種の才能なのかもしれない。
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