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近辺警護 完

[707]  森田  2007-01-30投稿
貴博『お前は!人を殺したんだよ!人間として最低なことをしたんだよ!』


俺が怒鳴りつけても叶呼は無表情のままだ。

むしろ冷めた面をしていた。


叶呼『せっかくすべてが元に戻ろうとしてるのに…』


叶呼『貴博は私を裏切るんだ』


手を払いのけられた。

貴博『元に戻るだと!?いい加減にしろ!何も戻らないだろ!』


お前の殺した人は、もう戻らないんだよ!


叶呼『……その目』


叶呼がナイフを構える。


叶呼『あんたまでそんな目であたしを見るの?』


叶呼の顔が、男を殺したときと同じ憎しみの形に歪む。









危険だと直感した時は、既に手遅れだった。


腹部が焼けるよう熱い。


叶呼のナイフが突き刺さっていた。


貴博『…かな…お前…』


なす術もなく床に倒れる。


叶呼『……もういいよ』


叶呼は哀しそうな顔をしていた。


これは違う…何かが間違っている。


情けなかった。


叶呼『ふっ…はははは!ははは!』


叶呼は泣きながら笑っていた。


なんなんだよ…


貴博『…一体どうしたんだよ…』


腹部から流れ出した血が暖かくて心地よい。


何も知らずに力尽きる俺は、祈るように、救いを求めるように目を閉じた。






すべてが知りたい…


今はただそれだけだった。

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