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異界の住人?

[463]  朝倉令  2007-01-30投稿


「参ったねこりゃ…。
完全に白目むいちまってるよなぁ…」



島崎愛が失神するありさまを見ていた白虎は、困った様子でポリポリ頬を掻く。


やがて、その指で宙を切るしぐさをすると、カーテンを持ち上げる様に景色をペロンとめくった。


切り裂いた隙間から、全く同じ景色の夕景が見える。



「昼間からこんな所にいると、青竜の奴がうるさいからな…」



ブツブツ言いながら、白虎は島崎愛を軽がると担ぎ、黄昏のあわいに消えてゆく。


切り裂かれた空間の裂け目は内部から閉じられ、全く何の痕跡も残らない。






「あ、……。
あたし、気絶してた?」


「愛ちゃん、おはよ。
と言っても夜だけどさ」


「ヒッ、…ば、化け物…」


「いやいや、愛どの。こやつはな、馬鹿者じゃ。
のう、青竜」


「全くだ。 大体、現世で昼寝するなど守護神の自覚に欠けておるわ」



「…たまたまだろう?
千年振りに寝坊した位でそこまで言うか?」



私を取り囲む男たちが、何やら言い争いをしていた。


「お嬢さん、恐がる事はありませんからね。
みーんなあなた方の守り神なんですよ」


「あなたは?」


「あたしゃ玄武ですよ。
北の守りでしてね」



黒い道服で白髭のおじいちゃんが、にこやかにそう名乗る。



「左様。それがしは南方の守り、朱雀じゃ」



赤い道服の口髭をたくわえた男が、気取った態度で名乗る。



「俺は、東の青竜」



紺の道服をまとったクールな二枚目さんが、こちらへ鋭い一瞥をよこす。


残る一名は白い道服の白虎だった。 

今は憮然としたおももちだが、どことなく女ったらしに見えた。





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