さとちゃん 完
「どうも佳菜子さん。美里のおもり、ありがとうございました」
ひょろりにこにこ、いつ見ても人畜無害そうな人だ。
「いいえ。それより、首尾は?」
「おかげさまで」
照れ笑いの、その幸せそうな表情がすべてを語っている。よかったよかった。
「にぃ」
「ああ、美里。それじゃ、佳菜子さんの家でパパもママも待ってるから、戻ろうか」
「うん」
小さな手で兄の人差し指をにぎって、さとちゃんは嬉しそうに頷く。
まるで私と一緒にいた時間が苦痛でしたと言わんばかりだ。
いい根性の妹さんですね、と目の前の人に言ってやりたい今日この頃。
公園を出る時、ふと、さとちゃんが私を振り返った。
そして言う。
「私が暇になったら、遊びに行ってあげる」
「こら、美里。なんだその口のきき方は」
途端にガミガミ星人と化したお兄さんの意外な一面を発見しながら、私はつい笑ってしまった。
怒られて、しょんぼりしたフリをしているさとちゃんが。兄姉を「結婚」に取られる淋しさを理解してくれたから。
生意気な女の子が、ホントは優しいことがわかったから。
ま、妹ができたと思って…。
「足短いの?」
=足遅いね。
ムカッ。
【END】
ひょろりにこにこ、いつ見ても人畜無害そうな人だ。
「いいえ。それより、首尾は?」
「おかげさまで」
照れ笑いの、その幸せそうな表情がすべてを語っている。よかったよかった。
「にぃ」
「ああ、美里。それじゃ、佳菜子さんの家でパパもママも待ってるから、戻ろうか」
「うん」
小さな手で兄の人差し指をにぎって、さとちゃんは嬉しそうに頷く。
まるで私と一緒にいた時間が苦痛でしたと言わんばかりだ。
いい根性の妹さんですね、と目の前の人に言ってやりたい今日この頃。
公園を出る時、ふと、さとちゃんが私を振り返った。
そして言う。
「私が暇になったら、遊びに行ってあげる」
「こら、美里。なんだその口のきき方は」
途端にガミガミ星人と化したお兄さんの意外な一面を発見しながら、私はつい笑ってしまった。
怒られて、しょんぼりしたフリをしているさとちゃんが。兄姉を「結婚」に取られる淋しさを理解してくれたから。
生意気な女の子が、ホントは優しいことがわかったから。
ま、妹ができたと思って…。
「足短いの?」
=足遅いね。
ムカッ。
【END】
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