ナイト・オン・ドラグーン【64】話『狂気』
『斬り殺されたくないなら、道を開けろぉお!!』
アインは兵士達の中を駆け抜ける。
『やっぱり、引き返しましょう!アイン!』
マナの声が後ろから聞こえた。
『なぜ…!?』
疑問の言葉をアインは呑み込んだ。
なおも崩れていく隊列。武装した兵士達が吹っ飛ぶ。”それ”は確実にこちらへ向かってくる。血飛沫が見えた。
剣がいともたやすく鎧の群れを薙いでいく。
兵士達の遅れて上がる悲鳴。
そして怒号。
竜眼の男…とマナがつぶやく。
『あいつか!?』
アインが叫ぶ。
血飛沫の向こうに男がいた。
顔はよく見えない。が、
笑っている。
兵士達を瞬時にして肉塊に変えながら…
男は確かに笑っていた。
息を呑む気配がした。マナだ。
白い顔がなおいっそう白い。
はっきりわかるほど体が震えている。
あまりにも凄惨な光景に怯えているのだろうか。
『いやっ…来ないで』
『マナ?』
返事はない。
マナはひたすら目を見開き、震えてばかりいる。
『ごめん!やっぱり引き返そう。父さんの仇討ちはまた今度だ』
マナの手を引く。
指先が氷のように冷たい。
マナがこの状態では竜眼の男と戦うどころではない。
父の仇を前にして撤退するのは悔しく思ったが…。
アインはさっき走ってきたのとは別の路地へと入っていく。
正門が駄目なら北門に向かうしかなかった。
アインはマナを見る。
相変わらず血の気がなく、目はどこか虚ろである。
『マナ、大丈夫か?』
『え。あ……ごめんなさい』
『ここを抜けると北門だ。多分、封印騎士団の別部隊がいるかもしれない』
北門には正門を凌ぐ数の兵士が集結しているだろう。
この町を出るにはそこを突破しなければならない。
いつものマナに戻るまで少し時間が欲しいと思ったが、北門広場はもう目の前だった。
かくなる上は、マナを背で庇いながら戦うしかない。
そう腹を括った時だった。
『飛竜だ!!』
叫び声が上がった。
『迎えは、いらなかったか?』
上空からレグナの声が降ってくる。
『助かるよ!すぐここから出たいんだ』
アインは兵士達の中を駆け抜ける。
『やっぱり、引き返しましょう!アイン!』
マナの声が後ろから聞こえた。
『なぜ…!?』
疑問の言葉をアインは呑み込んだ。
なおも崩れていく隊列。武装した兵士達が吹っ飛ぶ。”それ”は確実にこちらへ向かってくる。血飛沫が見えた。
剣がいともたやすく鎧の群れを薙いでいく。
兵士達の遅れて上がる悲鳴。
そして怒号。
竜眼の男…とマナがつぶやく。
『あいつか!?』
アインが叫ぶ。
血飛沫の向こうに男がいた。
顔はよく見えない。が、
笑っている。
兵士達を瞬時にして肉塊に変えながら…
男は確かに笑っていた。
息を呑む気配がした。マナだ。
白い顔がなおいっそう白い。
はっきりわかるほど体が震えている。
あまりにも凄惨な光景に怯えているのだろうか。
『いやっ…来ないで』
『マナ?』
返事はない。
マナはひたすら目を見開き、震えてばかりいる。
『ごめん!やっぱり引き返そう。父さんの仇討ちはまた今度だ』
マナの手を引く。
指先が氷のように冷たい。
マナがこの状態では竜眼の男と戦うどころではない。
父の仇を前にして撤退するのは悔しく思ったが…。
アインはさっき走ってきたのとは別の路地へと入っていく。
正門が駄目なら北門に向かうしかなかった。
アインはマナを見る。
相変わらず血の気がなく、目はどこか虚ろである。
『マナ、大丈夫か?』
『え。あ……ごめんなさい』
『ここを抜けると北門だ。多分、封印騎士団の別部隊がいるかもしれない』
北門には正門を凌ぐ数の兵士が集結しているだろう。
この町を出るにはそこを突破しなければならない。
いつものマナに戻るまで少し時間が欲しいと思ったが、北門広場はもう目の前だった。
かくなる上は、マナを背で庇いながら戦うしかない。
そう腹を括った時だった。
『飛竜だ!!』
叫び声が上がった。
『迎えは、いらなかったか?』
上空からレグナの声が降ってくる。
『助かるよ!すぐここから出たいんだ』
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