ひとりぐらし×2の3(3)
まったく、油断していたとしか言いようがない。灯の淹れたコーヒーを「何気なく」口にしてしまうとは。
「…」
何かイタズラを仕掛けられていて然るべきなのだから。
そのコーヒーは、僕を驚かせたと言う一点に於いて、正にその役目を全うした。
なにしろ彼は、僕が絶句するほどに、
「うま…」
かったのだから。
「あれ、大丈夫?何でそんな変な顔すんのさー」
「おかしい。コーヒーがおいしいんだけど」
「あたりまえじゃん」
「だって灯が淹れたコーヒーだぞ?塩とか入ってるとか…」
そんな僕の至極真っ当な疑問に、しかし灯りは気分を害したようだった。
「なわけないじゃん。それに食べ物は粗末にしちゃいけないって、おばあちゃんから言われてたからさ」
「あれ、意外におばあちゃんっ子なんだ?」
そう茶化すと、灯の表情がにわかに蔭ってみえた。
「良いじゃんさ」
つんと言うと、灯は自分のコーヒーをくっ、と飲み干した。「あ、小降りになったみたい。アタシ帰るわ。コーヒーありがと」
「あ、おい」
「じゃね、また明日」
何が気に障ったのだろうか、灯はそそくさとブーツを履いてでていってしまった。
まだ小降りといえるほど、雪は治まっているとは思えないのに…。
「…」
何かイタズラを仕掛けられていて然るべきなのだから。
そのコーヒーは、僕を驚かせたと言う一点に於いて、正にその役目を全うした。
なにしろ彼は、僕が絶句するほどに、
「うま…」
かったのだから。
「あれ、大丈夫?何でそんな変な顔すんのさー」
「おかしい。コーヒーがおいしいんだけど」
「あたりまえじゃん」
「だって灯が淹れたコーヒーだぞ?塩とか入ってるとか…」
そんな僕の至極真っ当な疑問に、しかし灯りは気分を害したようだった。
「なわけないじゃん。それに食べ物は粗末にしちゃいけないって、おばあちゃんから言われてたからさ」
「あれ、意外におばあちゃんっ子なんだ?」
そう茶化すと、灯の表情がにわかに蔭ってみえた。
「良いじゃんさ」
つんと言うと、灯は自分のコーヒーをくっ、と飲み干した。「あ、小降りになったみたい。アタシ帰るわ。コーヒーありがと」
「あ、おい」
「じゃね、また明日」
何が気に障ったのだろうか、灯はそそくさとブーツを履いてでていってしまった。
まだ小降りといえるほど、雪は治まっているとは思えないのに…。
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