フェニックス 18
周囲に大きな気笛が鳴り響き、艦内に放送が流れる。
「本日は陸送艦バレットクロウに御搭乗ありがとうございます。当艦は首都オリュンポスへ向け間もなく発進致します。繰り返します……」
一瞬揺れたかと思うと窓の外の景色が流れだす。
最初はゆっくりと。そして、徐々に景色の流れるスピードが速くなっていく。
「この柄のデザイン…」
鞘から剣を抜き、窓から差し込んだ陽の光を反射し黒光りする刀身を、好奇の眼差しで見つめる。
「それに、この最硬度を誇るダマスカス鋼をここまで見事に加工する技術。間違いない、これは名工ゲヴネが打った剣、クラウソラス。現存するゲヴネの作は世界に数本と言われているのに、まさかこんなところで見れるなんて。ゼノス、君は一体これをどこで手に入れたんだ?」
テーブルに手を突き、身を乗りだしたカインは興奮気味だ。
握り締めた剣と椅子に座ったゼノスの距離が近い。
「分かったから少し落ち着け。まずは、それを鞘に戻してくれ」
ゼノスはクラウソラスと言われたゼノスの剣を指差す。
「……。すまない。あまりのことに興奮してしまったようだ」
カインは椅子に座り、剣を鞘に戻した後、壁に立て掛ける。
「それで、これはどこで?」
手に入れたのかと、再び同じ質問を問い掛ける。
「それは…」
もったいつけるようにゆっくりとした口調。
「それは?」
先を急かすように復唱する。
「山で拾った」
「は?」
カインの口は開きっ放し
「だから、山の中で落ちてたのを拾った」
「いや、そんなわけ…」
そこまで言って
「はぁ…。言いたくないならもういいよ」
先ほどの勢いは消え失せ、酷く落ち込んだ様だ。
「そんなに落ち込むなよ。それにしても、やけに詳しいな」
さっさと話題を変えるあたり、ゼノスに励ます気はあまり無いようだ。
「一応これでもトレジャーハンターをしてるからね。世界中の名品、珍品には詳しいんだ」
「ふぅん、トレジャハンターね」
遺跡や秘境にある財宝を求め旅をするのがトレジャーハンター。人の物を強奪するのがバンディッツ。後者は元より前者もたとえ神聖な場所でも財宝があれば所構わず荒らす為に、一般の人々からは両者ともあまりいい印象をもたれていないのが現実だ。
大抵は旅行者や冒険家と言い、堂々と名乗る者は少ない。
こうして、二人が話をしている間にも陸送艦は首都オリュンポスへと近付いて行く。
「本日は陸送艦バレットクロウに御搭乗ありがとうございます。当艦は首都オリュンポスへ向け間もなく発進致します。繰り返します……」
一瞬揺れたかと思うと窓の外の景色が流れだす。
最初はゆっくりと。そして、徐々に景色の流れるスピードが速くなっていく。
「この柄のデザイン…」
鞘から剣を抜き、窓から差し込んだ陽の光を反射し黒光りする刀身を、好奇の眼差しで見つめる。
「それに、この最硬度を誇るダマスカス鋼をここまで見事に加工する技術。間違いない、これは名工ゲヴネが打った剣、クラウソラス。現存するゲヴネの作は世界に数本と言われているのに、まさかこんなところで見れるなんて。ゼノス、君は一体これをどこで手に入れたんだ?」
テーブルに手を突き、身を乗りだしたカインは興奮気味だ。
握り締めた剣と椅子に座ったゼノスの距離が近い。
「分かったから少し落ち着け。まずは、それを鞘に戻してくれ」
ゼノスはクラウソラスと言われたゼノスの剣を指差す。
「……。すまない。あまりのことに興奮してしまったようだ」
カインは椅子に座り、剣を鞘に戻した後、壁に立て掛ける。
「それで、これはどこで?」
手に入れたのかと、再び同じ質問を問い掛ける。
「それは…」
もったいつけるようにゆっくりとした口調。
「それは?」
先を急かすように復唱する。
「山で拾った」
「は?」
カインの口は開きっ放し
「だから、山の中で落ちてたのを拾った」
「いや、そんなわけ…」
そこまで言って
「はぁ…。言いたくないならもういいよ」
先ほどの勢いは消え失せ、酷く落ち込んだ様だ。
「そんなに落ち込むなよ。それにしても、やけに詳しいな」
さっさと話題を変えるあたり、ゼノスに励ます気はあまり無いようだ。
「一応これでもトレジャーハンターをしてるからね。世界中の名品、珍品には詳しいんだ」
「ふぅん、トレジャハンターね」
遺跡や秘境にある財宝を求め旅をするのがトレジャーハンター。人の物を強奪するのがバンディッツ。後者は元より前者もたとえ神聖な場所でも財宝があれば所構わず荒らす為に、一般の人々からは両者ともあまりいい印象をもたれていないのが現実だ。
大抵は旅行者や冒険家と言い、堂々と名乗る者は少ない。
こうして、二人が話をしている間にも陸送艦は首都オリュンポスへと近付いて行く。
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