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ぱずる、、〔十二 ピース〕

[704]  ホッチ  2007-02-09投稿
『ノリユキ、、』

これがさっき言われていた日記ですか、、。

彼の母親からノートを預かり、ページをめくる、、。
まだ新品らしきそれは、どうやら彼が大学ヘ入ったときから記したものらしい。

誰に見せるわけでもなかったのだろう、文は単調で字も雑だ、、。
唯一目につくのは、日記というか会話になっている。

彼にこんなことが起きなければさほど気にかかることもなく調べることもないのだが、、、。

最後まで読み、事件との関連性を察した。

日記は彼が事件に巻き込まれる前日まで書いてあり、気になる会話で締めくくっている、、。

母親に礼を言い、次に彼の部屋を案内していただいた。

部屋へ近付くにつれ、母親が泣いていることにもどかしさが湧く。
掛ける言葉はみつからなかった、、。

案内され、二度のノックと彼の名前を呼び。返事を待つ。

これといった答えはないが彼女に承諾を得、入室することにした。

六畳程のごく普通の部屋、、テレビやコンポ、窓からは西日が射し電気を点けていなくとも差し支えない暖かさに包まれていた、、。

ただ其所には、学習机に座る「ノリユキ君」がいた、、。

独り言を繰り返し、私が近寄っても反応せず言葉を呟いている、、。

「あれからずっとこうなんです、、食事やトイレにも行かなくて、無理矢理動かそうとすると暴れて、、。」

それだけ私に伝えると、泣き崩れ彼女は座り込んでしまった。
、、優しい言葉を一つ掛け、私はノリユキへ目を向ける。

彼の隣へ移動し、彼の言葉に耳を傾ける、、、


「手術は怖い、、
怖いし、治らない、、
僕には分かるんだ。
意味のないことだと。
だって、あの子が言ってたもん、、。」

しゃべり方は幼く、とても大学生とは思えない。
これだけしか聞いていなければ意味は分からなかったが、先に日記を読んでいたため。多少の理解は出来た、、。

しかし、『あの子』の存在を認めることは。今の私には無理なことだ、、。

泣き続けている彼女に深くお詫びをし、私は署へ戻る、、。
ふと、いつの間にか鳥肌がたっていた。

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