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異界の住人?

[426]  朝倉令  2007-02-09投稿


帆に目一杯風をはらんだヨットのように、青竜の操る水の塊は目まぐるしい速さで異次元を駈け抜ける。



「すっごお〜〜い!まるでCG合成みたい」



「…? 現世(うつしよ)の言葉は分からん。

ま、水辺ならどこへなりとも案内出来るが」


「四神の皆さんって、全員こんな凄い力をお持ちなんですか?」


「ふむ…まあ、そういう事になるか。

ただ、破壊力の強大さは白虎が一頭地を抜いておるやも知れん」


「…ぜんっぜん強そうに見えない」


「奴は首から下が本体だ。君も見たんだろうが?」


「はい。……すっごく恐かったぁ…」


「ふむ、まあ、全員似たようなものだ」






いつの間にか私たちは元の世界に到着していた。

フレディの震えもようやく収まったみたいで安心した。


パチン!と指を鳴らし、水の塊を散らした青竜は“ギュンッ”と体を反転させると本来の姿に戻っていた。



「うそー…」


《愛どの、さらばだ》



声を残し、巨大な竜は夕景に溶け込むように“スーッ”と消えていった。



最後に見えた背の青い鱗が、夕陽をはじいてキラキラと幻想的な輝きを見せていた。





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