ナイト・オン・ドラグーン【66】話『戸惑い』
錆の町から飛び立った後、南の方角へしばらく飛び、アイン達は森に降りた。
降ろしてほしいと、マナが言い出したのである。
『エリスの言ってたことは本当なのか?』
地上に降りるなり、ずっと呑み込んでいた言葉をアインは吐き出した。
問い詰められずにはいられなかった。
しかし、マナは答えない。
『マナ!どうなんだ!』
『…私…』
『嘘だろう?嘘だって言ってくれよ!』
マナの赤い瞳を覗き込む。その瞬間、思い出した。
神水の搭の後の会話を。
目覚めた時には自分の名前以外思い出せなかったとマナは言っていた。
それはつまり記憶がない、ということだった。
そして封印騎士団が維持している封印の搭によって犠牲になっている人々を救うことこそが宿命、と思い、アインと出会う前から一人で戦ってきたのだと言っていた。
いくら問い詰めても、記憶のないマナに過去のことを答えられるはずがないのだ。
でも、とアインの内に疑念が生まれる。
ならば、なぜマナは否定しないのだろう。
それとも、記憶を失ったという話そのものが嘘なのか。
アインはマナの両肩を掴んだ。
何か言ってくれ、と声にならない叫びをあげながら。
『今まで…ありがとう…』
マナはそっとアインの手をほどき、背を向けた。
引き留めることもできずにアインはただその後ろ姿を見つめる。なぜ、
(なんでだよ…マナ)
弁解できないなら、せめて。私を信じて、と言って欲しかった。
マナは足早に去っていく。
一度も振り返ることなく。
そして生い茂っている森の中へと消えてしまった。
『よいのか?小僧』
レグナが言う。
アインは黙って頭を降る。
この猜疑心と不信感を拭い去ってくれるものは、マナ自身の言葉でしかない。
その彼女に背を向けられてしまった…
それ以上、レグナは何も言おうとはしなかった。
アインはマナの去っていった方角を見つめる。
(マナ…)
森のせせらぎが響く。
降ろしてほしいと、マナが言い出したのである。
『エリスの言ってたことは本当なのか?』
地上に降りるなり、ずっと呑み込んでいた言葉をアインは吐き出した。
問い詰められずにはいられなかった。
しかし、マナは答えない。
『マナ!どうなんだ!』
『…私…』
『嘘だろう?嘘だって言ってくれよ!』
マナの赤い瞳を覗き込む。その瞬間、思い出した。
神水の搭の後の会話を。
目覚めた時には自分の名前以外思い出せなかったとマナは言っていた。
それはつまり記憶がない、ということだった。
そして封印騎士団が維持している封印の搭によって犠牲になっている人々を救うことこそが宿命、と思い、アインと出会う前から一人で戦ってきたのだと言っていた。
いくら問い詰めても、記憶のないマナに過去のことを答えられるはずがないのだ。
でも、とアインの内に疑念が生まれる。
ならば、なぜマナは否定しないのだろう。
それとも、記憶を失ったという話そのものが嘘なのか。
アインはマナの両肩を掴んだ。
何か言ってくれ、と声にならない叫びをあげながら。
『今まで…ありがとう…』
マナはそっとアインの手をほどき、背を向けた。
引き留めることもできずにアインはただその後ろ姿を見つめる。なぜ、
(なんでだよ…マナ)
弁解できないなら、せめて。私を信じて、と言って欲しかった。
マナは足早に去っていく。
一度も振り返ることなく。
そして生い茂っている森の中へと消えてしまった。
『よいのか?小僧』
レグナが言う。
アインは黙って頭を降る。
この猜疑心と不信感を拭い去ってくれるものは、マナ自身の言葉でしかない。
その彼女に背を向けられてしまった…
それ以上、レグナは何も言おうとはしなかった。
アインはマナの去っていった方角を見つめる。
(マナ…)
森のせせらぎが響く。
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