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佐藤さん

[296]  2151  2007-02-14投稿
「はぁ〜っ」

胸まである痛んだ長い茶髪にカールをかけ
ハゲたマニキュアを塗った形の良い爪をバチバチとキーボードに当てながら
すごい早さで何かを打っている
細く小さくそして、鋭い目
こちらをチラリと見てはため息
荷物をドンッ!と置く
そしてまた
ため息。

会話に私は入らない。
混ぜて貰える事はない
もちろん恐ろしくて自ら混ざろうともしない。
重たい空気を作りだし、周りの人にはにこやかに接する
仕事の出来る
綺麗な女性だ

そして、私の天敵だ。

入社して2ヶ月の私は、彼女には到底追いつかない。

私のせいでイライラし、それをビシビシと私に伝える彼女
それでも何も出来ない私。

今日もようやく
あのヘビに締付けられるような
ねっとりとして息が出来ない
重たい場所から開放された

もうこんな時間だ…
歩く私。急ぎ足のつもりが
足がうまく動かない
ヘビを巻付けてきてしまったんだろうか…

のそのそと歩く
気持ちばかりが焦っている

フッと立ち止まる

もう歩けないかもしれない
家まではまだ遠い。
このまま、横のごみ捨て場に倒れこんでしまおうか。
ゴミの前で止まった私の目には
袋から溢れる汚いゴミと
酔っ払いの仕業であろう吐瀉物
しわしわになったエロ本が散乱していた
そしてその上には
不釣合いなほど美しく
凛々しく
ゴミにも負けず、甘い香りを漂わせて咲く薔薇があった

私は
何故か薔薇をむしり取っていた
棘が刺さっても
ゴミでパンプスが汚れても
むしって、引きちぎって、ゴミに向かってそれを叩きつけていた
手から血を流して
足元をぐちゃぐちゃにしながら踏み散らかした

そして
やっと笑う事が出来た

何とか家に帰れそう
何とか明日も仕事に行けそう

ゴミにまみれて
同じゴミとなった薔薇を横目に
歩きはじめた

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