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「手」

[1361]  downpour  2007-02-14投稿
手……暗い一本道の先にぼんやりと手が見えた…。僕は吸い寄せられるようにその手に近づいていった…それは、見覚えのある親友Kの手である。優しいその手は僕を道の先へと誘う…。しかしその手は途中でふっと消えた…するとまた道の先に手が見えた…
近づくと、今度は懐かしい祖父の手であった。なんだか温かいその手に誘われ僕はどんどん進んでいった…
消えては現れる母や父、親しかった先輩の手等に僕はふわふわと誘われ進んで行き、ついに行き止まりが見えた…
…そこに見えたのは紛れもなく僕の手であった…その手に触れようとしたその時、誰かが先にその僕の手に触れた…すると辺りは急に真っ暗になった……
「ズキッ!」…そこで体に激痛がはしり目覚めた……
辺りを見ると悲惨な光景であった…炎上するタンク車…横転したバスからなんとか這い出した僕はようやく全てを思い出した……。
…そして投げ出された場所からちょうど見えたもの……バスの運転手の手には乗客の命だけでなく、僕の片手も握られていた……。

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