フェニックス 19
昼と夜が三度変わった後、陸送艦バレットクロウは首都オリュンポスのステーションに着いた。
ぞろぞろとバレットクロウから乗客が降りて行く。ここから人々は長い長い検問の行列に並び、数日経った後ようやく首都に入ることが出来るのだ。
すでにカインは出ていった後で、部屋にはゼノスしかいない。
出ていく直前の言葉は『いつ首都に入れるか分からないから、少しでも前に並ばないと』だった。
考えることはみんな同じのようで、到着前から搭乗口の前には人で溢れ、到着後もしばらくは混乱が続いていた。
「そろそろ行くか」
艦内が落ち着きを取り戻した頃ようやくゼノスは腰を上げた。
乗艦時に預けた荷物―ゼノスの物ではないが―を受け取り、バレットクロウから外に出る。
「遅い!」
出迎えたのは、かなりイライラした様子のセティだった。セティの後ろにはアスマナとジフともう一人、ジフと同じスーツを着た体格のいい見知らぬ男がいた。
「一体何やってたの?」
「いや、特に何も」
「は?だったらもっと早く…」
血管が切れそうな勢いのセティの言葉を、横からアスマナが遮る。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。それよりも、ゼノスさんに預けた荷物をこちらに」
そう言うと、隣りにいた体格のいい男が前に出てきて荷物を受け取る。
それを見届け、ジフが
「それでは、検問がありますので我々はこれで失礼します」
「またどこかで会えるといいですね」
と、アスマナ。
体格のいい男は無言だった。
一礼した後、三人は検問所へと向かった。
「ここにいてもなんだし、俺達も行かないか?」
「…そうね。行きましょう」
多少怒りの治まったセティと荷物がなくなり身軽になったゼノスの二人は、検問待ちの行列を横目にアスマナ達とは違う検問所へ向かった。列に並んでいる人々からの視線が冷たい。
「そこの二人止まれ!」
二人の検問所の兵が歩み寄ってくる。
「お前達、検問待ちの列はあっちだ。きちんと並ばないか」
セティは懐から例の物を取り出す
「これを」
スレイプニルを二人の兵に渡す。
「なんだ?通行証か?」
渡された通行証の内容を確認し始める。
「随分と変わった通行証だな」
ぞろぞろとバレットクロウから乗客が降りて行く。ここから人々は長い長い検問の行列に並び、数日経った後ようやく首都に入ることが出来るのだ。
すでにカインは出ていった後で、部屋にはゼノスしかいない。
出ていく直前の言葉は『いつ首都に入れるか分からないから、少しでも前に並ばないと』だった。
考えることはみんな同じのようで、到着前から搭乗口の前には人で溢れ、到着後もしばらくは混乱が続いていた。
「そろそろ行くか」
艦内が落ち着きを取り戻した頃ようやくゼノスは腰を上げた。
乗艦時に預けた荷物―ゼノスの物ではないが―を受け取り、バレットクロウから外に出る。
「遅い!」
出迎えたのは、かなりイライラした様子のセティだった。セティの後ろにはアスマナとジフともう一人、ジフと同じスーツを着た体格のいい見知らぬ男がいた。
「一体何やってたの?」
「いや、特に何も」
「は?だったらもっと早く…」
血管が切れそうな勢いのセティの言葉を、横からアスマナが遮る。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。それよりも、ゼノスさんに預けた荷物をこちらに」
そう言うと、隣りにいた体格のいい男が前に出てきて荷物を受け取る。
それを見届け、ジフが
「それでは、検問がありますので我々はこれで失礼します」
「またどこかで会えるといいですね」
と、アスマナ。
体格のいい男は無言だった。
一礼した後、三人は検問所へと向かった。
「ここにいてもなんだし、俺達も行かないか?」
「…そうね。行きましょう」
多少怒りの治まったセティと荷物がなくなり身軽になったゼノスの二人は、検問待ちの行列を横目にアスマナ達とは違う検問所へ向かった。列に並んでいる人々からの視線が冷たい。
「そこの二人止まれ!」
二人の検問所の兵が歩み寄ってくる。
「お前達、検問待ちの列はあっちだ。きちんと並ばないか」
セティは懐から例の物を取り出す
「これを」
スレイプニルを二人の兵に渡す。
「なんだ?通行証か?」
渡された通行証の内容を確認し始める。
「随分と変わった通行証だな」
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