風は淡々と勢いを消した。
だから、落ち着いてくれないか。
そんなに厳ついたところで、何を訴えたいんだ。
それを見る身にもなってごらんよ。
突然空しくなったり、不意に同感したり、意識がどこか吹き飛ばされているみたいだ。
一方じゃ、自分の心を模倣されているような気分がして恥ずかしいよ。
もちろんそうだよ、外見は平然と振る舞って冷視しているよ。
だけど、頑なに自分を閉じこめるのにもエネルギーが必要なんだ。
想像つかないだろうけど、沢山の圧迫を感じるんだ。
なぁ、静かにしてくれないか。
集中しないと、あらぬ感情が吐き出されて大変なことになるじゃないか。
あぁ、またうるさくなってきた。
少しくらい聞いてくれよ、人の話を。
ガラスを叩くな、耐えきれない。
別に悪いのは自分だってわかってる。
目を瞑ったら、あの人を泣かせてしまったこと、簡単に浮かび上がるよ。
そのときは責めてもしょうがないって諦めて、遠くに逃げてる。
そんなこと、避けることは楽にできた。
ずっといることより、容易に為せたよ。
ただ、黙ってあの人から去りたくなかった。
その勢いで、涙乾かしてくれないか。
すると、すんだ風は逃げていった。
結局、風にはわかってもらえなかった。
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