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毒舌君主[十二]

[292]  73  2007-03-14投稿
数日後、昭久は熱が下がり、店に復帰していた。
「よう、昭久。久しぶり。元気になったかぁ?」
夕方、修が顔をみせる。
「あぁ。」
昭久はいつも通り素っ気ない。
「そりゃ、よかった。でさぁ、入口のところでこっちをジーッと見つめる変な子がいるんだけど。」
修がそちらを指差す。
「由香里!てめぇ、何突っ立てんだ。他の客の邪魔になるだろうが!」
「…はぁーい。ごめんなさい。」
昭久の言葉に反論する事もなく、由香里はただフラフラと入口から離れ、カウンターの椅子に座った。
そんな様子を見て、修と昭久は顔を見合わせる。
それからも由香里の様子はおかしかった。
いつもの様に自ら会話に入ろうとしないし、昭久や修が話を振ってもうわの空だ。
見兼ねた修が「何かあった?」と聞いても首を振るだけ。最終的に昭久は「つまんねぇ。修、店番たのむ」と言いながら店の奥にひっこんでしまった。
少しの間、店内は気まずい空気に包まれる。
数分後、昭久がトレーに何か乗せて戻ってきた。
「ほらよ。頼んでもない看病の礼だ。ありがたく食え」
由香里の前に差し出されたのは、チョコパフェだった。
「…これ、私に?おいしそう…ありがとうございます。」
由香里は今にも泣きだしそうだ。
「お、おう。」
いつもと違う由香里の様子に昭久は戸惑う。
「えー!昭久、俺のは?俺のチョコパフェちゃんは?」
修がわざとおどけてみせる。
「はぁ?んなのある訳ねぇだろが」
「何?それは俺が見舞いに行かなかったからかぁ!?淋しかったのか?だけど俺も忙しかったんだよ。合コンとか合コンとか合コンとかで…」
「お前、遊んでばっかじゃねーか!!しかも違うし!バカ!」
二人が言い合いをしていると笑い声が聞こえてきた。見ると、由香里が楽しそうに笑っている。どうやら二人のやり取りが面白かったようだ。それからさきほどが嘘の様にいつもの様に元気を取り戻した由香里。
そんな様子を見て、昭久はホッと胸を撫で下ろした。
続く

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