バンドブーム〜7〜
歌を歌うことは昔から大好きだった。
幼稚園児の頃の将来の夢は歌のお兄さん。
だが年が年を重ねてくうちにその夢は薄くなっていった。
そして父の死。
将来の夢さえも見ることができなくなってしまった。
明光はそう決め込んでいた。
小学校3年生。母子家庭ということから始まったイジメ。
市立中学校は小学校の延長線、結局イジメは中3まで続いた。
でも母には言えない。
母の数少ない収入で行く学校を楽しみたい。
無理だ。
イジメられっ子とレッテルを貼られた以上、学校を楽しめない。
誰も相手にしてくれない。ストレス解消マシーンとしか見てくれない。
だったら嘘をつくしかない。
母に楽しい学校生活をおくっていると。
いつの間にか歌だけが救いになっていた。
歌っていると嫌なこと全て忘れることができる。
楽しい。
今こうして大桑たちの前で歌っていること、少なくとも認められたこと、最高に楽しいし嬉しい。
時間が止まればいいのに・・・。
歌はBメロからサビに差し掛かろうとしている。
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