MURASAME
吸血鬼夢想
Prolog
夜霧に混じりかすかに血の臭いがする。恐怖も嘆きもない、叫びすら闇に消えていく…それが、この街…倫敦…
血を啜る音が聞こえた。街の闇に紛れ、影は物言わぬ死体の首を舐め続けた。歓喜の声が漏れ、その声に反応するように、影は死体に群がった。月明かりが影を照らした。その姿は人ではなかった。歯は牙のように鋭く、目は血走っていた。吸血鬼…彼らは夜の住人で人の血を啜り生きている。
ズル……ズル…
何かを引きずる音が響いた。吸血鬼達は一斉に音のする方を向いた。霧の奥から人影が現れた。次第に影は大きくなり、その姿を現した。
それは少女だった。束ねた美しい黄金の髪が夜風に吹かれ揺れた。背中に棺桶を引きずり、その目には深い憎悪と哀しみが秘めれていた。
「吸血鬼ども…私はお前達の存在を許さない…」
吸血鬼の一人が彼女に牙を剥き襲いかかった。彼女は棺桶を下ろし、懐から銃を取り出し、吸血鬼に向け撃った。吸血鬼は一瞬で灰のようになり消え去った。
「銀の銃弾よ…とっととあの世へいきな!」
彼女の言葉を皮切りに全ての吸血鬼が彼女に群がった。彼女は棺桶から日本刀を取り出し一閃のもとに吸血鬼を薙払い、襲いかかる吸血鬼を頭から斬りつけ吹き出る血が彼女を紅く染め上げた。
その時一人の吸血鬼が仲間の死体を喰い始めた。その吸血鬼は巨大化し彼女に襲いかかった。しかしその攻撃が彼女に届くことはなかった。彼女の棺桶が割れ中からタキシード姿の男が一瞬で吸血鬼を細切れにした。
「ブラッド…」
彼女の声に男は答えなかった。
「また変異種…それにコイツはアジア系の人間…」
彼女は死体を見ながら呟いた。
「日本人か…恐らくコイツは日本の吸血鬼…」
彼女は立ち上がり刀を握った。
「東の国…日本…そこにいるのね…?
ソフィア…」
つづく
Prolog
夜霧に混じりかすかに血の臭いがする。恐怖も嘆きもない、叫びすら闇に消えていく…それが、この街…倫敦…
血を啜る音が聞こえた。街の闇に紛れ、影は物言わぬ死体の首を舐め続けた。歓喜の声が漏れ、その声に反応するように、影は死体に群がった。月明かりが影を照らした。その姿は人ではなかった。歯は牙のように鋭く、目は血走っていた。吸血鬼…彼らは夜の住人で人の血を啜り生きている。
ズル……ズル…
何かを引きずる音が響いた。吸血鬼達は一斉に音のする方を向いた。霧の奥から人影が現れた。次第に影は大きくなり、その姿を現した。
それは少女だった。束ねた美しい黄金の髪が夜風に吹かれ揺れた。背中に棺桶を引きずり、その目には深い憎悪と哀しみが秘めれていた。
「吸血鬼ども…私はお前達の存在を許さない…」
吸血鬼の一人が彼女に牙を剥き襲いかかった。彼女は棺桶を下ろし、懐から銃を取り出し、吸血鬼に向け撃った。吸血鬼は一瞬で灰のようになり消え去った。
「銀の銃弾よ…とっととあの世へいきな!」
彼女の言葉を皮切りに全ての吸血鬼が彼女に群がった。彼女は棺桶から日本刀を取り出し一閃のもとに吸血鬼を薙払い、襲いかかる吸血鬼を頭から斬りつけ吹き出る血が彼女を紅く染め上げた。
その時一人の吸血鬼が仲間の死体を喰い始めた。その吸血鬼は巨大化し彼女に襲いかかった。しかしその攻撃が彼女に届くことはなかった。彼女の棺桶が割れ中からタキシード姿の男が一瞬で吸血鬼を細切れにした。
「ブラッド…」
彼女の声に男は答えなかった。
「また変異種…それにコイツはアジア系の人間…」
彼女は死体を見ながら呟いた。
「日本人か…恐らくコイツは日本の吸血鬼…」
彼女は立ち上がり刀を握った。
「東の国…日本…そこにいるのね…?
ソフィア…」
つづく
感想
感想はありません。