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絶対不滅マゾヒズム 7

[366]  影山藍  2006-01-25投稿
ああ、バカだなぁ、って思う。
今まで私はいつも、彼氏に甘えてワガママばっかり言って、
そのくせなんでも言うことを聞いてくれる彼氏が不満だった。
もっと、もっと私にいろんなものを望んでいいのに、って。
甘えの裏返しは、構いたがりの心。

今の、優しくない私の彼氏は、無意識的か意識的か、私をいじめるけど
それでも離れられないのは、なんでなんだろう。

「・・・かえる?」
夕陽の光でオレンジ色に満ちた部屋。沈黙を破ったのはあんた。
「そしよっか」
私はのそのそと動いて、ふすまを開ける。
後ろについてくる気配。来たときとは逆だな、なんて思う。
いつも私の前をズンズン歩いていっちゃうのに。
おかしな気分。

勝手口から庭に出て、来た道を二人でゆっくり戻る。
青と橙のグラデーションに染まった空を、鳥が悠々と泳ぐ。
指先が凍るように寒い。
と、後ろにあった気配が、いつの間にかなくなっていることに気づいた。

「・・・あ」

辺りを見回し、何かを片手にこっちに戻ってくるあいつの姿を見つけた。

「なにそれ」
「おでん」
「・・・食べるの?」
「やるよ」
「お金もってないんじゃなかった?」
「ジーンズに500円入ってた」
「ふぅん」
「ダイコン好きだろ」
「好き」

なんとなくわかった。
あいつがいじめっ子で、私がいじめられっ子なんじゃない。
二人ともが、不器用なんだ。


「俺のことも好きだろ」
「好き」


多分ずっと消えない、この関係。


>>終<<

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