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殺し合いごっこ? 第28話

[1103]  龍角  2007-03-21投稿
プルル…
プルル…
突然快の胸ポケットにある携帯電話が鳴った。

「もしもし。」

「快か?突然だが試験は中止だ。」
声の主は敬や快と同じく鬼人である厳だった。

「中止だと!?何かあったのか?」
「あぁちょっとやばい事になった。実は…」

中止になった理由を聞いた途端、快の目の色が変わった。

「お前は直ちに××様の安全を確保しろ。後で俺達もそっちに合流する。」

「了解。」



秋山が死んだ。

それは勇にとって受け入れ難い事実だった。

「嘘だ…あり得ない…有り得ねぇよ…あいつが。」

勇はもう一度秋山に電話をかけた。 だがその時聞こえてきたのは秋山の声でも敬の声でも呼び出し音でも無かった。

「この携帯電話の所有者は死亡しました。」

冷たい女性の声のアナウンス。

死亡という言葉が勇の脳内に響く。
もう間違いは無かった。嘘でもなんでも無い。

秋山由美は死んだ。

「くそぉぉォォ!!」

現世で母親も死んだ松坂も死んだそして秋山も死んだ。生き残ったのは勇ただ一人。

「なんでだよ!!なんでみんな死んじゃうんだょ!!」

悲しみと絶望そして自分だけが生き残ったという罪悪感が勇の心に渦巻いていた。そして同時にある感情が芽生えた。

オニと敬に対する復讐心。

勇は部屋を飛び出した。

敬の勇への復讐はまだ道理のあるものだと勇は思っていた。しかし秋山や母親などの関係の無い人達を巻き込んだ事はどうしても勇は許せなかった。

「原田ぁぁぁ!!出て来い!!ぶっ殺してやる!!」
勇は喚き散らしながら走った。当然丸腰で全力疾走する少年をオニ達は見過ごす訳は無かった。
勇の目の前にオニが立ちはだかる。
「邪魔だぁぁぁ!!」

しかし勇は怯む事も無くオニ化した爪でオニの喉元を突き刺した。怒りと悲しみが人間離れしたオニの戦闘能力を開花させた。

最早勇は悪魔と化していた。

「死ね死ね死ね死ねぇぇぇ!!」

驚異的な跳躍力で跳び上がり悪魔の左腕をオニの脳天に降り下ろす。

頭が割れ脳味噌と返り血が悪魔を赤く染める。

いくつものオニの死体。

悪魔の暴走は止まらなかった。

その声が聞こえるまでは

やっと見つけた私のおやつ…フフフ…

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