さくらの歌
さくらは歌が好きだった
小さな頃からいつも歌っていた
しかし、高校生になるとさくらは
歌うことをやめた
大好きだった担任の教師に
レイプされたことで
さくらは声を失った
それからさくらは
家に引きこもるようになった
「さくら!今日は天気もいいし、散歩でもしないか?」
友達のゆうきからのメールにはそう書かれていた
「いや。外に出たくない」
「そんなこと言わないでさ!もう桜も咲いてるよ!」
「…じゃあ…家の前で待ち合わせしよう」
さくらは桜が咲く季節が好きだった
30分後
ゆうきからのメールでさくらは2ヶ月ぶりに外に出た
久しぶりに見る外の世界には
白い雪の代わりに桃色の花びらが舞っていた
「キレイだろ?これを見せたくて
お前を連れ出したんだ。公園まで行こうぜ」
さくらはうなずいた
公園にある桜も
満開だった
「お前、いつもここで歌ってたよな。俺、お前の声好きだったよ」
ゆうきが何気なく言った言葉はさくらを傷つけていた
さくらは突然泣き出し
そのまま走り去っていった
さくらはゆうきが好きだった
自分の歌をいつも聞いてくれていたゆうき
だが、もう自分は歌えない
その日の夜だった
電話が鳴り
しばらくすると
母親がさくらを呼んだ
「ゆうき君が交通事故に遭ったみたいなの。近くの病院に運ばれたって…」
さくらは玄関から飛び出し
走った
どれくらい時間がたっただろうか
病院に着いたときには
さくらの裸足の足は血で真っ赤だった
病室へ案内されたさくらは
ゆうきを見て泣き崩れた
ずっと意識が戻らず
助かる見込みはないという
ゆうきに呼びかけようとしたが
自分には声がない
しかし、ゆうきの手を握りしめていると
ゆうきがなにかささやいているのが聞こえた
「…さくらの歌が聞きたい…」
弱々しい声だったが
さくらにははっきりと聞こえた
さくらは自分の無力さを嘆いた
「ゆ…うき…」
そのときかすかに
さくらの喉から声がした
さくらは力一杯叫んだ
「ゆ…うき…!」
病室の窓から桜のはなびらが舞い込んでいた
さくらは歌った
ゆうきが好きだと言ってくれた歌を
ほんの少しだけ
ゆうきが笑った気がした
さくらはゆうきが深い眠りに落ちるまで歌い続けた
ずっと
ずっと…
小さな頃からいつも歌っていた
しかし、高校生になるとさくらは
歌うことをやめた
大好きだった担任の教師に
レイプされたことで
さくらは声を失った
それからさくらは
家に引きこもるようになった
「さくら!今日は天気もいいし、散歩でもしないか?」
友達のゆうきからのメールにはそう書かれていた
「いや。外に出たくない」
「そんなこと言わないでさ!もう桜も咲いてるよ!」
「…じゃあ…家の前で待ち合わせしよう」
さくらは桜が咲く季節が好きだった
30分後
ゆうきからのメールでさくらは2ヶ月ぶりに外に出た
久しぶりに見る外の世界には
白い雪の代わりに桃色の花びらが舞っていた
「キレイだろ?これを見せたくて
お前を連れ出したんだ。公園まで行こうぜ」
さくらはうなずいた
公園にある桜も
満開だった
「お前、いつもここで歌ってたよな。俺、お前の声好きだったよ」
ゆうきが何気なく言った言葉はさくらを傷つけていた
さくらは突然泣き出し
そのまま走り去っていった
さくらはゆうきが好きだった
自分の歌をいつも聞いてくれていたゆうき
だが、もう自分は歌えない
その日の夜だった
電話が鳴り
しばらくすると
母親がさくらを呼んだ
「ゆうき君が交通事故に遭ったみたいなの。近くの病院に運ばれたって…」
さくらは玄関から飛び出し
走った
どれくらい時間がたっただろうか
病院に着いたときには
さくらの裸足の足は血で真っ赤だった
病室へ案内されたさくらは
ゆうきを見て泣き崩れた
ずっと意識が戻らず
助かる見込みはないという
ゆうきに呼びかけようとしたが
自分には声がない
しかし、ゆうきの手を握りしめていると
ゆうきがなにかささやいているのが聞こえた
「…さくらの歌が聞きたい…」
弱々しい声だったが
さくらにははっきりと聞こえた
さくらは自分の無力さを嘆いた
「ゆ…うき…」
そのときかすかに
さくらの喉から声がした
さくらは力一杯叫んだ
「ゆ…うき…!」
病室の窓から桜のはなびらが舞い込んでいた
さくらは歌った
ゆうきが好きだと言ってくれた歌を
ほんの少しだけ
ゆうきが笑った気がした
さくらはゆうきが深い眠りに落ちるまで歌い続けた
ずっと
ずっと…
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