藍色の時間 10
藍の言葉に俺が二の句を次げないでいると、藍は少し大きな声で言った。
「私、一真には出会えて良かったって思ってる。でもね…嘘みたいに聞こえるけど、私、あの人が好きなの。これは本当…」
俺はただ黙るしかなかった。
言えない。
何も、言う事ができなかった。
「さよなら、一真…。もう、来ないで」
それが、俺が聞いた最後の藍の言葉だった。
幾らかの年月が流れた。
俺は別れた彼女とも復縁し、大学を卒業した後、小さなデザイン事務所に就職していた。
それから、彼女と結婚し、それなりに順風満帆な生活を送った。
幸せだったと思う。
ある時、妊娠している妻の出産日という事で自宅待機していた自分の元に、一本の電話が入った。友人からの電話で、藍が死んだといういう知らせだった。夫からの暴力によるものだった。
直後、妻が産気づき、すぐに病院へ運び、やがて、女の子が生まれた。
藍が死んだ日に、俺の子が生まれた。
俺は人生の奇妙な運命を感じていた。
「さよなら、藍…」
「私、一真には出会えて良かったって思ってる。でもね…嘘みたいに聞こえるけど、私、あの人が好きなの。これは本当…」
俺はただ黙るしかなかった。
言えない。
何も、言う事ができなかった。
「さよなら、一真…。もう、来ないで」
それが、俺が聞いた最後の藍の言葉だった。
幾らかの年月が流れた。
俺は別れた彼女とも復縁し、大学を卒業した後、小さなデザイン事務所に就職していた。
それから、彼女と結婚し、それなりに順風満帆な生活を送った。
幸せだったと思う。
ある時、妊娠している妻の出産日という事で自宅待機していた自分の元に、一本の電話が入った。友人からの電話で、藍が死んだといういう知らせだった。夫からの暴力によるものだった。
直後、妻が産気づき、すぐに病院へ運び、やがて、女の子が生まれた。
藍が死んだ日に、俺の子が生まれた。
俺は人生の奇妙な運命を感じていた。
「さよなら、藍…」
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