携帯小説!(PC版)

照葉

[213]  関谷 沙椰  2007-03-25投稿
「何してるんだ?」
その声に私ははっとした。
「前いた所の事でも思い出してたのか?」
「…違うよ」
私は祐利の言葉を否定した。
「あと、一時間なんだなって、思ってただけ」
「何を今更」
「それでも…ね」
「まぁ、確かにそうかもな」
彼は私の顔を見た。
「王家の姫が実の叔父を殺そうとしてるなんてさ」
「殺す気は無いと、何度言ったら分かるの」
「さて、殺さずに済むかね」
「祐利!」
「はいはい。黙ってりゃ良いんだろ」
彼は肩をすくめた。
分かっていた。
血を流さずに済んだ革命がどれだけ少ないか。
そして、今私の味方が祐利しかいない事。
この場にいる仲間達は皆、私自身を慕っている訳ではない事。
革命に失敗したら終わりだ。
祐利はさっき黙っていると言った通りその後、一言も話さなかった。
そのうち、突入一分前になった。
「んじゃ、行きましょうかね。照葉姫」
彼はおどけた口調で言った。
「いざとなったら守護魔、呼び出せよ」
「分かってる」
私達は予定通り、王の寝室へ向かったが、そこに王の姿は無く、大勢の兵士達が私達を待ち構えていた。
「げ…」
祐利はそれを見るなり、踵を返した。
私もそれに倣う。
途中、祐利が私の方を向いた。
「おい!ルエ呼び出せ!」
「わ、分かった」
走りながらも、大きく息を吸う。
「ルエール!」
「何…?」
夜だからか、不機嫌そうな声がした。
「私達、運んで!どこでもいいから、安全な所!」
「はいはい」
次の瞬間、私達は見たこともない所に立っていた。
「ここ…どこ?」
「知らね。場所、指定すれば良かったのに」
「そんな余裕無かったもの」
「助かったには違いないみたいだけどな」
「…皆は大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。何しろ俺等の突入の密告したのは、あいつらだろうしな」
「…えっ?」
「気付かなかったのか。普通の人間は剣術なんか知らねぇし、俺等の作戦が筒抜けだった。もし、密告したのが少数だったとしたら、作戦通り、別の所でも爆発騒ぎが起きてたはずだろ?たぶん、あいつらは王の兵士の一部だ」
「そんな…」
「それで、あってると思うぜ。…ところで、」
そこで彼は言葉を切った。
「ここはどこなんだ?」

感想

  • 6731: すごくいいです 2待ってます [2011-01-16]

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