もとかれ (14)
康……
ずっと抱きしめて欲しかった。
康が変わってしまっても、この温もりだけは変わらない。
私も康を抱きしめた。
愛しい康の体をキツク抱きしめて、もう離れたくないと思った。
「…奈美」
康の温かい唇が私の唇へ…
何度も何度もキスをして、一年分の時間を埋めるようだった。
私達は、近くのホテルへお泊りをした。
何度も愛を確かめ合って、体を重ねていた。
「愛してる…」の言葉だけが部屋に響いていた。
でも康はまた、仕事で戻らなければならない。
康は、‘またやり直そう’って言ってくれたけど私は約束はしなかった。
また同じ事になる気がして怖いから…
でも、本当に康が戻ってくるまで康を待っていると伝えた。
それまでは、軽く電話やメールのやりとりだけで私は十分だよ。
だから、信じて待っています。
康はその二日後、この街を発った。
もちろん、見送りもしなかった。一年前みたく、涙なんか流してないよ。
私は私で康が戻ってくるまで頑張っていきます。
それから、夏がきて、私は毎日仕事を頑張っています。
もちろん、康とはメールもしてるけど、私と康は、友達以上恋人未満の関係が続いている。
例えばお互い、彼氏彼女ができたとしてもいいと思ってる。
どんな事があっても、最後には一緒になると思っているから。
私は職場で出会った人から告白されていた。私の事が好きで好きで、毎日のように‘付き合って欲しい’と言われている。
私は軽い気持ちでOKした。
その人は私と同じ年のアキラ。
背が高くて色白で王子様のような人だった。
何より優しい性格で一途…
私を心から愛してくれている。
私はそんなアキラに少しずつ惹かれていった。
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