フェンス 【 君と僕との距離 】
━━ 僕の住む国と、隣りの国との国境は ちっぽけなフェンス
低くて短いけれど
それは、 僕等にとって越えられない距離だったんだ ━━━
君との出会いは、突然だった
僕が空を見上げてたら
君が声をかけてきた フェンスの向こう側から
「 ねぇ、 空ばかり見てて楽しい?」
フェンスの向こう側の人間と話しをすることは、 いけないことだったけれど
君の声が あまりにも美しかったから、 僕はもう一度 その声が聞きたくて、 君に返事をしてしまった
「 空は 自由だから、好きなんだ。」
「 空って、自由なの??」
「 自由だよ だって、空には国境なんてないだろ? 」
君が見る空と
僕が見る空は
同じ色をしているのに
この空は繋がっているのに
どうして大地は
君と僕が繋がることを許してはくれなかったのだろう
「 あなたの名前 なんて言うの?? 」
「 望 」
「 望 良い名前だね 」
「 君の 名前は? 」
「
教えないよ、 だって 教えたら、望は私の名前 呼ぶでしょ? 」
一瞬、君が何を言っているのか 理解できなかった
けれど
空襲警報のサイレンが鳴り響いた時、 僕はそれが何を意味したか 知る
「 バイバイ 」
そぅ 言って、君はこの場所から去ろうと後ろを向いて走り出した
「 ────っ !」
僕は 君の名前を知らないから、君を呼び止めることも出来やしなくて
君が見えなくなるまで 声にならない 言葉を君に向けて 叫んだ
「 ─── 、 ズルいな・・・ 」
君に芽生えていた恋の感情を 口に出したくなくて、呟いた言葉も
空襲警報のサイレンによって かき消された
→ end
感想
- 6912: これ、好きです。綺麗だなぁ サト [2011-01-16]
- 6926: 感想有難うございます。かなり前に書いた話なのに、読んでいただいて本当に嬉しく思いますv(^-^)v オズ [2011-01-16]