PERSON OF TASTE《?》
何だこの胸のモヤモヤ感は…。神谷に“好き”丸出しでくっついていく女。その光景を見て何とも言えない気持ちになった。早くそこから逃げ出したかった。
私はいったいどうしたっていうんだろう?
「それは、ずばり“恋”よ!」
麻衣が興奮気味に言う。
「…はぁ?そりゃないよ。だって私あの人とまともに話した事ないし。」
麻衣は頭を横に振る。
「人を好きになるって理屈じゃないもの。きっと美咲は神谷さんの事が好きなのよ!」
勝手に話を進め、勝手に納得した様子の麻衣。
私はただ苦笑いを浮かべるしかなかった。
―放課後。好きではないと思うものの、何だか気になる“神谷”という存在。
私の足は自然と屋上に向かっていた。
いつもの様にヘッドホンを耳につけ、音楽を聴きながらスケッチブックに筆を走らせる神谷。
私は今日は寝ない様に心に決め、神谷の後ろ姿をただ見つめていた。
数十分後、神谷が描くのを止め、ヘッドホンを耳から外した。
私は勇気を振り絞り、話しかけてみようとした。
「…あ、あの」
声が少し上擦る。私らしくない。
神谷は私の声に振り返る。「ん?あ、今朝の。…美咲だっけ?」
「へ?何で私の名前?」
「春紀が言ってた。イトコなんだろ?」
「てゆーか呼び捨てかよ…まぁ、いいけど。」
私のこの言葉に全く無関心の神谷。
「何か用?」
と切り出してきた。
しかし私はこれといって用がある訳ではなかった。
「いや、何も。ただ絵を描くのを見てた。」
嘘ではない。神谷が描く絵が気になっていた。
「この桜の絵…懐かしい感じがするの。」
正直な気持ちを言った。“変なヤツ”と思われたかもしれない。しかし意外にも神谷は何も言わずに描かれた桜に負けない程の綺麗な笑みを見せた。
続く
私はいったいどうしたっていうんだろう?
「それは、ずばり“恋”よ!」
麻衣が興奮気味に言う。
「…はぁ?そりゃないよ。だって私あの人とまともに話した事ないし。」
麻衣は頭を横に振る。
「人を好きになるって理屈じゃないもの。きっと美咲は神谷さんの事が好きなのよ!」
勝手に話を進め、勝手に納得した様子の麻衣。
私はただ苦笑いを浮かべるしかなかった。
―放課後。好きではないと思うものの、何だか気になる“神谷”という存在。
私の足は自然と屋上に向かっていた。
いつもの様にヘッドホンを耳につけ、音楽を聴きながらスケッチブックに筆を走らせる神谷。
私は今日は寝ない様に心に決め、神谷の後ろ姿をただ見つめていた。
数十分後、神谷が描くのを止め、ヘッドホンを耳から外した。
私は勇気を振り絞り、話しかけてみようとした。
「…あ、あの」
声が少し上擦る。私らしくない。
神谷は私の声に振り返る。「ん?あ、今朝の。…美咲だっけ?」
「へ?何で私の名前?」
「春紀が言ってた。イトコなんだろ?」
「てゆーか呼び捨てかよ…まぁ、いいけど。」
私のこの言葉に全く無関心の神谷。
「何か用?」
と切り出してきた。
しかし私はこれといって用がある訳ではなかった。
「いや、何も。ただ絵を描くのを見てた。」
嘘ではない。神谷が描く絵が気になっていた。
「この桜の絵…懐かしい感じがするの。」
正直な気持ちを言った。“変なヤツ”と思われたかもしれない。しかし意外にも神谷は何も言わずに描かれた桜に負けない程の綺麗な笑みを見せた。
続く
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