剣道?
ある稽古会の時
最高位の段を持つ先生ばかりが集まる稽古会に、我が大学の剣道部も参加する機会があった。
ああ………やはり強い。
年は老いても、冴えは体力ばかりある若者よりあり
むしろ無駄な動きが無く、気がつけばやられている感覚だ。
これが………八段の実力、か。
矢倉さんは自分も掛かろうと思い、先生に申し込みをした。
「お願いします!」
矢倉さんは必死で掛かる。
もうすぐ、全日本選手権がある。
矢倉さんは1年生ながら参加が出来た期待のホープだ。
結果から言えば、その年矢倉さんは3位ではあったが。
一方先生の方も矢倉さんの実力を知らない訳では無いから、手加減などいっさいしない。
激しい打ち合いは続く………
…………あれ?
矢倉さんは気味の悪い違和感を感じた。
何だ?この寒気……
だが、手を休めるなど出来ない。
気を抜けば容赦なく打たれる。
……………。
なぜ…こんなにも体温が下がるのだ?
何で………今すぐ逃げ出したい衝動に駆られる?
俺は───…
何にこんなに怯えているのだ………
ふと……先生の後ろに
「え」
赤い鬼が…見えた。
パ───ンッ!
面をばっくり取られた。
でも、そんなことどうでも良かった。
俺はその場で立ち尽くしていた。
鬼は、笑っている。
「矢倉?」
先生は手を休め、どうした、と顔を伺った。
何といえばよいか分からなかった。
何でもないです、すみませんでした、としか発することが出来なかった。
先生は何かいいたげだったが、太鼓を鳴らして稽古の終わりを告げた。
初めて………俺は得体の知れない存在を感じた。
と、同時に周りが言う背後の武士らしき存在を信じ、吐きそうな感覚に襲われたのだった。
「……それでも平常心を保てたのは、長年の剣道で培われた精神力のおかげです。」
だが
それより少し後に、さらに恐ろしい体験をすることにまだ…矢倉さんは気付いていなかった。
最高位の段を持つ先生ばかりが集まる稽古会に、我が大学の剣道部も参加する機会があった。
ああ………やはり強い。
年は老いても、冴えは体力ばかりある若者よりあり
むしろ無駄な動きが無く、気がつけばやられている感覚だ。
これが………八段の実力、か。
矢倉さんは自分も掛かろうと思い、先生に申し込みをした。
「お願いします!」
矢倉さんは必死で掛かる。
もうすぐ、全日本選手権がある。
矢倉さんは1年生ながら参加が出来た期待のホープだ。
結果から言えば、その年矢倉さんは3位ではあったが。
一方先生の方も矢倉さんの実力を知らない訳では無いから、手加減などいっさいしない。
激しい打ち合いは続く………
…………あれ?
矢倉さんは気味の悪い違和感を感じた。
何だ?この寒気……
だが、手を休めるなど出来ない。
気を抜けば容赦なく打たれる。
……………。
なぜ…こんなにも体温が下がるのだ?
何で………今すぐ逃げ出したい衝動に駆られる?
俺は───…
何にこんなに怯えているのだ………
ふと……先生の後ろに
「え」
赤い鬼が…見えた。
パ───ンッ!
面をばっくり取られた。
でも、そんなことどうでも良かった。
俺はその場で立ち尽くしていた。
鬼は、笑っている。
「矢倉?」
先生は手を休め、どうした、と顔を伺った。
何といえばよいか分からなかった。
何でもないです、すみませんでした、としか発することが出来なかった。
先生は何かいいたげだったが、太鼓を鳴らして稽古の終わりを告げた。
初めて………俺は得体の知れない存在を感じた。
と、同時に周りが言う背後の武士らしき存在を信じ、吐きそうな感覚に襲われたのだった。
「……それでも平常心を保てたのは、長年の剣道で培われた精神力のおかげです。」
だが
それより少し後に、さらに恐ろしい体験をすることにまだ…矢倉さんは気付いていなかった。
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