君の手に引かれて?
〜一週間後〜
部活終了後,私は,あの鈴木先生に呼び出された。
「渡したいプリントがあるから,校門の前で待っててもらえる?」
「あ,はい。分かりました。」
私はため息をついた。やっぱり。私は目をつけられている。
だいたい,職員室の前で待たせればいいのに,わざわざ校門の前で待たせるのはおかしい。しかも外は雨なのだ。おかしすぎる。
(大丈夫。大丈夫。)
私は,頬をパンパン叩いて,気合いを入れた。
私は靴を履いて,傘置き場の所へ行った。
「あ」
足がはたと止まった。
私の水色の傘を,誰かが持ち出そうとしている。後ろ姿からは誰だかわからない。
「あのっ。それ,私の傘…」
私が言い終わる前に,その人は振り向いた。
「あ,マナミ」
その人は,私の名前を呼んだ。
「神田先輩…?」
同じ委員会で,私に目をつけている先輩だった。
先輩の茶髪のロン毛が,さらりとなびいた。
「ウチ,傘なくてさぁ…マナミの借りていい?」
「えっ」
答えないうちに,神田先輩は私の傘をとって,玄関をでて,雨の中を駆け抜けた。一度こっちを向いてから,傘をばっとさして,向こうに消えていってしまった。
(何なの…?)
傘をささずに,校門の前で鈴木先生を待った。雨は次第にひどくなっている。早く帰らないと,親に叱られてしまう。私は焦った。
30分がたった。腕時計は7時15分をさしている。体がかすかに震えているのがわかった。
先生はまだ来ない。
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