君の手に引かれて?
(もう,帰ろう)
私は決心した。このままでは確実に風邪をひくだろう。
弱まった雨の中,速めに歩いて帰った。
〜次の日〜
朝,放送が流れた。
『生徒の呼び出しをします。B組,倉田マナミさん…』
私はギョッとした。周りにいた友達が心配してくれた。隣の雅史もこっちにきた。
「倉田さん,大丈夫っスかぁ」
雅史が声をかけた。
「大丈夫っスよ〜」
私はのんきに答えた。
職員室の前にきた。私は一回深呼吸してから,ニコっと笑って,扉をノックした。
「倉田さんね。どうぞ」
鈴木先生が私の前に歩いて来て,自分の机に連れだした。
先生は椅子にゆっくり腰かけて,私を見上げた。
「何で昨日帰っちゃったの?」
驚きの一言だった。
「えっ…。あ,すいません。あんまり遅いと,母に叱られるので,帰ってしまいました…すいません」
鈴木先生は,さらにこう言った。
「そんなの,理由にならないからね。あんまりふざけると,保護者を呼びますから」
先生は,机にあったプリントをスッとさし出した。
「あなたが先月休んだ時のプリントよ」
私は,そのプリントを読みながら,教室への廊下を歩いて行った。
「先月のプリントを,普通今日渡すか…?」
続く
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