ヤス#23
ヤス#23
しかし、最初、サトリを見た時に、既に失禁したのを思い出した。そして、勇気を腹の中から絞り出した。裸足の指は岩を掴み、毅然として立っていた。龍が目の前に迫った。ヤスを眼下に見下ろし、見据えている。いつ、喰われても不思議でない状況だった。
「龍よ!…俺を喰うのか!」
「…………………」
「何故、黙っている……喰うのか!」
「小僧…何故島にいる。ここは俺の島だぞ」
ヤスは何故自分が御床島に残っているか、その理由を言った。龍は大きな頭をユラユラと動かしなが黙って聞いていた。
「サトリよ。お前は何故、この小僧を島に残した。役目を忘れたのではあるまい」
「はい、龍神さま。実は私、この小僧に一度は殺されまして。ですが、このハナタレ…あ、いや、この小僧は私を手厚く葬り、ナムアミダブツを唱えてくれました」
「なるほど。それで生き返ったか」
「はい。そういう訳です」
「これまでにサトリを殺した人間はいない。小僧。もっと顔を見せろ」
ヤスは言われるままに、龍神の鼻息が掛かる所まで近づいた。凄い異臭がする。ヤスは、それに堪えながら毅然として構えた。
「大きくなったな…小僧」
「ど、どういう事だ」
「名は何と言う」
しかし、最初、サトリを見た時に、既に失禁したのを思い出した。そして、勇気を腹の中から絞り出した。裸足の指は岩を掴み、毅然として立っていた。龍が目の前に迫った。ヤスを眼下に見下ろし、見据えている。いつ、喰われても不思議でない状況だった。
「龍よ!…俺を喰うのか!」
「…………………」
「何故、黙っている……喰うのか!」
「小僧…何故島にいる。ここは俺の島だぞ」
ヤスは何故自分が御床島に残っているか、その理由を言った。龍は大きな頭をユラユラと動かしなが黙って聞いていた。
「サトリよ。お前は何故、この小僧を島に残した。役目を忘れたのではあるまい」
「はい、龍神さま。実は私、この小僧に一度は殺されまして。ですが、このハナタレ…あ、いや、この小僧は私を手厚く葬り、ナムアミダブツを唱えてくれました」
「なるほど。それで生き返ったか」
「はい。そういう訳です」
「これまでにサトリを殺した人間はいない。小僧。もっと顔を見せろ」
ヤスは言われるままに、龍神の鼻息が掛かる所まで近づいた。凄い異臭がする。ヤスは、それに堪えながら毅然として構えた。
「大きくなったな…小僧」
「ど、どういう事だ」
「名は何と言う」
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