着信音…3
「あのねー…
実は けいた…」
「携帯なら買わないわよ」
アキが言い終わらないうちに母は
キッパリと言った。
「え…アタシまだ最後まで言ってないし!!
てか
なんでダメなのッッ?!」
頭ごなしに断れたアキは,必死で抗議した。
すると母はせわしく動いていた包丁の手を止め,
振り向いて
「だいたいウチにそんなお金がドコにあるのよー」
「うッッ……」
痛いトコをつかれたアキは,
《もぅこーなったら》
と決意し,
「あのね…実はアタシ好きな人が出来ちゃって…。
メールしたいんだァ…」
と,慎重に言葉を選んで頼んでみた。
「……。」
なんの反応もない。
うつむいていたアキは,恐る恐る顔をあげてみた。
母はまた,背を向けて淡々と食事の準備を続けていた。
《やっぱり無理か…》
アキは諦めて部屋に戻ろうとした。
すると母はポツリと
呟いた。
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