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振り向けば…

[568]  葉っぱ  2007-04-02投稿
もはや空気と同じようなものだった。
教室でも廊下でも校庭でも振り向けば君がいた。

だから振り向けば笑顔になれた。
振り向けば幸せになれた。
振り向く度に愛おしく思えた。

たまらなかった。愛おしくて愛おしくてたまらなかった。
君の笑顔、君の怒った顔、君の泣いてる顔、君のしぐさ、君の声、君の香り。
どんなところでも俺の心を麻痺させる。
麻薬のようなものだ。

ねぇ……空気がなきゃ人は死ぬんだよ?

こんなことになるなら最初から好きにならなければよかった。君なんかいなければよかった。
俺なんかいなきゃよかった。
たかが高校生の恋愛でそこまで言うか。
なんて思うかもしれない。
そう、たかが高校生の恋愛だ。
だけど俺にとっとそれはすべてだった。
人生のすべて。いや、もはや完全に世界の中心は君だった。
自由の女神が壊れようが火星が爆発しようがどうったこともない。
君と一緒にいれは世界が破滅するとしても悔いはない。
むしろ最後まで一緒に入れたことに喜ぶだろう。

でもそれも君がいればの話し。
君がいなければ自由の女神が壊れたら驚くし、世界が破滅すると知ったら恐怖に震えるだろう。
人は一人じゃ完全にはなれない。
人はパズルみたいだ。
どんなにいっぱいあっても合わせられるパーツは一つだけ。
二人で一人の人間。
俺は人で君は間。
合わせられるパーツを無くしたらもう一個のパーツは必要無くなる。
今の俺は必要のない存在。
未だに君がいないことが信じられない。
だって目をとじて振り向くだけで君を思いだせるから。
でも一年、二年経つことに。
目を閉じて振り向かえるだけじゃ思い出すことはできなくなってきた。
日に日に消えてゆく君。
それが恐ろしくてたまらなかった。


もうほとんど思い出せなくなったくらいの時かな……あいつにあったのは。

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