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with、、、?〈サトル〉

[479]  由彩  2007-04-05投稿
「タクヤ、、、」

ただ一人の名前を呼び続ける女。

「なぜ、、、?
 なぜ動かないの?
 あぁ、、、タクヤ。」

彼女は何度呼んだかわからない彼の名を、今は哀しく消えてしまいそうな声で問う。

そう、私と彼女の息子は

自殺した。


   父さん
   母さんへ

 僕はダメな奴なんだ。
 存在さえいらない。
 どうしようもない。
 だから、この世から
 姿を消す。
 ごめんなさい。
        タクヤ

彼のポケットに入っていた遺書である。

私が言うのは、親バカというものか。
もともと勉強はできる方。なにをやらせても軽くこなしてしまう。
大学を出て、一流企業に入った。
自慢の息子だが、最近相当やられていたらしい。

父親なのに、中卒で、何の取り柄もない私は、見て見ぬふりだった。

「ごめんな、、。」

彼の棺の前で一言。
彼女は、いつまでも離れなかった。
棺には家族の幸せだった頃の写真を入れた。
彼は灰になり、空を少しだけ黒くした煙と一緒に、俗に言う“あの世”へ行けただろうか、、、


それから1か月程たった。
私はいつもと変わらぬ生活を取り戻しつつある。
ただ、彼女は違った。
どうしても息子のそばに行きたいらしく、何度も自ら命を断とうする。
その度に、何かにためらっている。
彼女の体には、いつしか無数のためらい傷が増えた。
さらに、ヒトとの交流を嫌がるようになり、家にこもる日々が続く。

彼女は、廃人化していった。
そんな生活が半月過ぎ、四十九日も終わり。。。
気が付けば庭の梅の花が咲き始めていた。

彼女は何するわけでなく、外を見ては動かなくなる。そんな日が続く。

季節変わりの雨が冷たい日のこと。
庭の梅が散りゆくのを見ながら彼女に尋ねた。

「今一番何がしたい?」

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