信号待ち<2>
ある日の帰り、いつも通り自転車を走らせていると、赤信号の下に少年が倒れていた。
近づいていって彼の横に自転車を止めた。
「まだ待っているのかい?」
そう言うと、少年は何も答えなかった。
次の日、信号の下に少年の姿はなかった。
信号は赤のままだった。
いつもは渡らないその信号に近づいて行って、ちょうど胸のあたりの高さにあるボタンを押した。
数秒後、信号は赤から青に変わった。
自転車を漕いで大きな道路を渡った。
車は青信号を待って止まっていた。
渡りきったとき、数秒間点滅した信号は、再び赤に戻り、車が走り出した。
誰かが教えてくれると思ったんだ。
誰か親切な人が教えてやるだろうと思ったんだ。
この信号は押しボタン式なんだよって。
少年は、家に帰れたのだろうか。
まあ何というか、世の中親切な人なんてそうそういないんだから、誰かがやってくれるだろうと他人任せにしてはいけませんって感じな、メチャクチャな話。
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