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S×S 4話

[370]  2007-04-06投稿
『ふぅ…いーぃ青だ』

真也は満足気に目を閉じ、呟いた。慎治と低レベルで卓球を語っていた頃が頭に浮かぶ。

体育館の外でユニフォーム姿は自分だけ、変に目立つのはわかっている。
だが、試合に万全で望むために必要な気分転換だ。次の試合は全てを出したい。
「真也ぁーっ!!コールあったぞ!早くしゃあがれ!」
『ごめん!ごめん!すぐ行くよ慎治』

慎治は苛ついた様子だ。真也は腰を上げた。

『先に行ってたら良かったのに……対戦相手と一緒に戦地に赴くのかぃ?』

真也はニヤリと笑った。
するとすぐに慎治に叩かれた。

「阿呆、行ったわ!テメーが遅いから呼びに来たんじゃねーか!!」
『後輩に呼びに来させりゃいいのに〜』
「うるさい…気分だ」

二人は話ながら、アリーナの扉を開けた。
トーナメント表のミスでベスト16にして同じ高校の選手が当たることになった。
顧問の先生が「抗議するか?」と訊いたが、二人はそろって首を振った。
願ってもないチャンスだった。
二人で腕を競い合って練習してきた。しかし、公式の場で戦ることがなかったため、どちらが強いかを決める機会がなかった。

『最後の大会…おあつらえの舞台だね』
「ふん…恥晒すのにか?」

慎治と真也はニヤリと笑った。それと同時に真也の顔が戦闘モードになる。

『恥晒すのぁテメーだよ。…全てを決めるぞ…!』
「上等だ…!」

二人は睨み合い、ラケットで互いを指した。
そしてラケットを同時に下げてから、真也が言った。

『練習は?』
「いらねぇ」
『ラケット交換は?』
「いらねぇ」
『サーブは?』
「やるよ」

真也は少し微笑むと、目を大きく開いてサーブを構えた。
そして、二人揃って昔から馴染みのかけ声を出す。

『「参る」』

【カシッ!カカッ!!】

真也のサーブは脇腹から出て、スピード系のサーブだった。慎治はそれをブロックしようとラケットを立てる。

【カッ カシュルルル!】
スピードだと思っていたサーブに強力なスピンが掛っていたために、ボールはネットで摩擦音を上げた。

「くっ…!」

『必殺サーブ《隼》…捕えてみな』

真也は不適に笑った。

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