携帯小説!(PC版)

トップページ >> 恋愛 >> 虹色の月?

虹色の月?

[334]  ゆちち  2006-02-01投稿
その焔の後ろの,今にも消えてしまいそうなチロチロと燃える焔の上に,突然『僕』が現れた。
轟々と燃える焔から目を離して,僕はその焔に歩み寄った。
真っ白な『僕』は,笑顔で僕に右手を差し出し,消えたかと思うと見えぬ誰かに抱きついて無邪気な笑顔を浮かべた。そしてまた消え,最後に,トラックの前に飛び出す『僕』を映した。
「あっ……!」
『僕』が消えそうになり,僕は思わず焔が消えぬように手で囲った。しかし,その小さな焔は僕の手の中で呆気なく消えてしまった……。
僕は我が目を疑った。
何故なら,僕の手の中では,焔の代わりに美しい虹色の満月が浮かんでいるからだ。
しかしそれは,不意にヒビが入ると,薄いガラスのように粉々に砕けて消えてしまった。
僕の頬はいつの間にか幾重も涙が濡らしていた。
「結衣──!」
僕は大声で叫んだ。

気がつくと,僕は全身に包帯を巻いたまま,真っ白なベッドの上で横になっていた。
僕の隣では,数人の人が隣のベッドに横たわる女性にすすり泣きを交わしていた。医者が唇を噛み,低く頭を垂れている。
人の間から,女性の顔がちらちらと垣間見えた。
ずっとずっとどこかで見たことがあるが誰だったか思い出せないもどかしさが僕を取りまいていた。
一ヶ月後,僕の全身からは包帯が取り払われた。大きな傷が沢山あったらしく,至る所に縫合した痕があった。
僕はその傷にそっと触れてみた。突如,何故だか物凄く寂しい衝動が僕の全身を突き上げた。
何故だか分からない……。
どうやら僕は記憶を失ってしまったようだ。

感想

感想はありません。

「 ゆちち 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

サーバ維持用カンパお願いします。
WebMoney ぷちカンパ

Twitterで管理人をフォローする

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス