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with、、、?〈エリ〉

[400]  由彩  2007-04-08投稿
私の前には愛しい息子の姿。

「タクヤ、、、」

その変わり果てた姿にただただ立ち尽くすしかない私。

「なぜ、、、?
 なぜ動かないの?
 あぁ、、、タクヤ。」

何度呼んでも返事はなく、この事実との対峙がどれだけ辛いか、、。


私の息子、タクヤは25年の長いようで短い人生の幕を自ら下ろした。



   父さん
   母さんへ

 僕はダメな奴なんだ。
 存在さえいらない。
 どうしようもない。
 だから、この世から
 姿を消す。
 ごめんなさい。
 あと、ありがとう。
        タクヤ

彼が最後に残した言葉。
今は、届かない心からの叫びだろう。

今は動かない彼に問い詰めるコトもできず、彼を包む冷たい箱にすがるしかなかった。

葬儀が終わり、親戚は散々に去っていった。
私と夫の二人だけになったとき、それまで張り詰めていたものが音を立てて崩れていくのに気付いた。



私は、夫と大恋愛をした。夢に見るような毎日を送り、その結果、タクヤを授かった。
大好きなヒトの子供を産み、この上ない幸せを得た。彼は私にとって、かけがえの無い存在。
宝であり、また、彼を愛していた。

いつしか大きくなり、高校生になった。

地元では有数の進学校へ行き、私たちも鼻が高い。

まさに自慢の息子。

思春期と呼ばれる季節を過ぎ、社会人になった年の秋、彼女をうちに連れてきた。

自分が恐ろしくなるほど、彼女に圧力をかけたのを覚えている。

嫉妬していた。

今その彼女はどうしたのだろうか、、。


彼のことを思い出すたび、片手に剃刀・カッター・包丁のいずれかを手にしている。
死んで彼の近くに居よう。彼の側で永遠の時を過ごすんだ、、、と。

ただ、いつも邪魔をする奴がいる、、、。夫だ。

夫の顔が頭を過り、致命的な傷が作れずにいた。


ちょうどその頃、風の噂に、身内の話を聞いた。どうやらタクヤを悪くいっている。

その辺りから人が信じられなくなり、限られた範囲のみの行動を取るようになっていった。

自分でもわかるくらい意識して感情を出さず、むしろ感情のすべてを失うよう、心がけていった。

季節が移りゆくのはカレンダーを見て感じるようになり、、。

こよみの上ではそろそろ花が咲く頃だろうか。

それまで私を遠巻きに見ては、切ない顔をしていた夫が声をかけてきた。

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