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[124]  七海  2007-04-09投稿
どうしたんだろう、この人。
さっきからずっとあたしの横で…時々涙ぐみながら私に話しかけてる。
まるであたしとの思い出を話しているような口ぶりで。
あたしを「カナエ」と呼んで話してる。
この男の人は…誰??


「おはようございます。」
真っ白な服の女の人が上からのぞきこんできた。
ここは…病院??
なんで病院にいるんだろう。
看護師さんがニコニコしながら話しかけてくる。
「どこか痛いところとかない??あんなことがあったのになんともないなんて、奇跡ですよ。」

あんなこと??
なにかあったっけ??

「あら、お母様がいらっしゃいましたよ。」
看護師さんの視線の先を追う。

あれ??
あの女の人誰だっけ??

「カナエ!!」
"お母様"が駆け寄ってきた。
「…あの、人違いじゃありませんか?それにあたしの名前は…」

…名前…名前??
なんだっけあたしの名前!!!
それにこの女の人…ホントにお母さんだっけ…??

あたしのお母さんらしい人はピタっと動きを止めると、少し戸惑ったように看護師さんのほうを見た。
看護師さんも首をかしげている。

やがて、女の人はハッとした表情を浮かべると、フフッと笑った
「やだねぇ、お母さんをからかわないでよ。」

そんなこと言われったって…。

それでもキョトンとしている私を見て、とうとう女の人も本当にわからないのだとさとったらしい。
看護師さんと顔を見合わせると、二人で病室をでていってしまった。

病室に一人ぽつりと残されたあたしもさとった。

この真っ白な部屋のように、あたしの記憶も全て白く塗りつぶされたのだ、と。

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