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暇の潰し方5

[282]  あこん  2007-04-10投稿
ある日の放課後。
「ヒロー、カラオケ行くけど行かね?」
俺こと笠木広人は、中学からの友人にこのように声を掛けられた。
「…悪いな、今日は用事があるんだ。また誘ってくれ。」
そして、このようにやんわりと断った。
今日は日下部佳奈理に、教室に残っているよう言われたのである。
…暇潰しの為に友達の誘いを断るってのも本末転倒だなぁ。
それにしても日下部が遅い。そもそも同じ教室なのに放課後になってから一度も顔を見ていない。
机の中に漫画でも入れてなかったかと手を突っ込む。
「…ん?」
漫画は見当たらなかったが、折り畳まれた紙片を見つけた。無論、開く。
『さあ、私はどこにいるかな?byカナ』
日下部からの手紙だった。
うわ、全てを投げ出してカラオケに合流してぇ。
しょうがなく席を立つ。そっちがその気ならすぐに見つけてやろうじゃないか。
教室を出て、廊下を見渡した。隠れられそうなもの、無し。
無理だな。帰るか。
「…ん?」
足下に、またもや紙片が。
『見つけられなかった場合、私はずっとそこにいます。そして長い時間が経って』
途中で読むのをやめた。
馬鹿馬鹿しいが日下部ならあり得る。…見つけてやるか。
さて、思い出せ俺。昔はよくかくれんぼしただろう。
学校で隠れ場所としてお馴染みの場所といえば?
体育用具室。
階段下の物置。
共同ごみ捨て場。
あちこち歩き回った後、教室に帰ってきた。
うむ、疲れた。一時間半ほどか。暇だな俺も。一番の暇人は日下部だが。
避難経路図で他に隠れ場所になりそうな所を探す。
各準備室。
屋上。
ロッカー…は無理か。
…一応見に行っておこう。
そして、やっぱり見つからない。
教室に再び戻ってきて椅子に腰掛ける。
ここまで見つからないとは、流石に帰ったか?
ガタガタンッ。
教室の後ろの方で騒々しい音がした。木の箱の中で物がぶつかるような音。
音源を求めて後ろを振り返ると、木箱は確かにそこにあった。
そういえばあったな、校内かくれんぼの定石が。
俺は掃除道具入れに近付き、念の為にノックをした。
返事はない。
…もう放置して、今からでも友人たちに合流したい。
盛大に溜息をつき、ドアノブに手をかけ俺は思い切り扉を開けた。
「…起きろ!」
埃にまみれながら寝る日下部は、放っておいたらいつまでもそこにいそうだった。

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