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たった一つの真実 7

[239]  2007-04-12投稿
『夏 7 』


「兄ちゃん そしたら行くわ また 」

「宏ちゃん 気をつけて」
宏介は いつものように 軽く手を挙げ車に乗り込んだ。
僕も高橋に一礼し 慌てて車に乗った。
宏介はサイドウィンドを下ろすと 「失礼します」と言った。

「宏ちゃん気をつけて」

高橋は また、宏介に気をつけてと念を押すように言った。

車を走り出させると僕は
「宏介さん 高橋さんってヤクザ屋さんですか」と聞いた。

「はじめ そうだけど本人が聞いたら泣きよるわ 自分では ヤクザ者には見えんって云うてるからな」

宏介は自分がヤクザ者と付き合っている事を別に隠す気はないようだ。

僕は、もう一つ何で 高橋が宏介に 「気をつけて」と 念を押すのか不思議に思っていたのだが その事は 何か聞いたらいけないような気がして 聞けなかった。

「宏介さんと友達だと 勇気があるって言ってましたね。なんか変ないい回しですよね それって」

「ああやって 人をからかうのが好きなんや」

僕は、なぜ宏介が高橋を 兄ちゃんと呼ぶのか 聞きたかったが その事も何の用事だったのかも聞かなかった。

「はじめ 悪いけど寮に行ってくれ」

知り合いの忘れ物を渡してカラオケボックスに向かおうと宏介は言った。

僕はその時 こんな時間に忘れ物を渡すと云う 宏介の子供みたいな嘘に気が付かなかった。


「はじめ 寮の手前でちょっと待ってて」

宏介はそう言うと 誰かに電話をしながら寮の入り口へ歩いて向かった。

僕は、また車の中で待つ事になったが 宏介と高橋の関係について勝手に あれこれと考えて いたので退屈など嫌な気は 全然しなかった。

宏介の部屋に灯りが点いたのと同じ位に 白色のセダンが僕の車の横を通り抜け寮の前に止まった。

助手席から チンピラ風の男が降りて寮に入っ行く。僕は、その男が宏介の知り合いだと直感した。
運転席からも前の男より若く派手な格好をした男が降りて来て タバコを吸いながら 僕をじっと見ている。

怖くなかった。
いつもなら目を伏せて関わらないように務める僕だが その時は 何故だか怖くなかった。

しばらくすると、寮からチンピラ風の男が入口から姿を出し宏介も すぐに出て来た。
つづく。

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