ヤス#33
ヤス#33
ハヤト尻尾を振りながらついて行く。納屋に入ると麦わらが敷きつめてある。ヤスの特等席だ。ヤスはそこへ大の字になって寝転んだ。麦わらを一本、口にくわえて噛んでいる。ハヤトが足元で丸くなって首をもたげていた。遅れて、アイが入って来た。
「アイ。どういう事だ」「さあ…」
「さあ…じゃないだろう。お母さんには、お前が見えなかったみたいじゃないか」
「その様ですね。私にも分からないのです。どうして、ご主人様にしか見えないのか…」「ご主人様って誰だ…」「あなたでございます」
「げっ!…俺の家来はハヤトだけだ」
「私も家来にして頂きます」
「いらん、いらん。女なんか家来に欲しく無い」
「それが、ご主人様が嫌でも、そういう決まりなのです」
「勝手に決めるな!一体…アイは…」
突然、納屋の引き戸が開いた。祖父がシワだらけの顔を覗かせた。「ヤス、何を一人言を言ってるんだ」
「あっ…爺ちゃん…いや、学校の国語の暗記だよ」
「ほっほっ…お前は偉いな」
そう言い残して、祖父は引き戸を閉めて行った。
「お優しそうなおじい様ですね」
「ああ、優しい爺さんだけど…怒ったら怖い」
「ほんとに…そんな感じ。ほほっ」
ヤスは小さく笑うアイを見つた。
ハヤト尻尾を振りながらついて行く。納屋に入ると麦わらが敷きつめてある。ヤスの特等席だ。ヤスはそこへ大の字になって寝転んだ。麦わらを一本、口にくわえて噛んでいる。ハヤトが足元で丸くなって首をもたげていた。遅れて、アイが入って来た。
「アイ。どういう事だ」「さあ…」
「さあ…じゃないだろう。お母さんには、お前が見えなかったみたいじゃないか」
「その様ですね。私にも分からないのです。どうして、ご主人様にしか見えないのか…」「ご主人様って誰だ…」「あなたでございます」
「げっ!…俺の家来はハヤトだけだ」
「私も家来にして頂きます」
「いらん、いらん。女なんか家来に欲しく無い」
「それが、ご主人様が嫌でも、そういう決まりなのです」
「勝手に決めるな!一体…アイは…」
突然、納屋の引き戸が開いた。祖父がシワだらけの顔を覗かせた。「ヤス、何を一人言を言ってるんだ」
「あっ…爺ちゃん…いや、学校の国語の暗記だよ」
「ほっほっ…お前は偉いな」
そう言い残して、祖父は引き戸を閉めて行った。
「お優しそうなおじい様ですね」
「ああ、優しい爺さんだけど…怒ったら怖い」
「ほんとに…そんな感じ。ほほっ」
ヤスは小さく笑うアイを見つた。
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