携帯小説!(PC版)

[284]  AIJI  2007-04-15投稿
夕凪、何一つ音の無い世界で貴方から愛を教えてもらいました。





―貴方に出逢うまで、私は愛というモノを知らなかった。
与えられる温もりの安堵も知らないまま、他人を拒絶するように生きて来た。
優しい言葉は上辺だけ。所詮偽善で溢れている、と。
背を向けて耳を塞ぐ。
何も感じない心は、真っ白な表面に一つ一つ、刺が生まれ誰も触れる事は無くなっていた。



「悲しいね」


突然、
蝋燭の火のように、灯ってくれた貴方。
言葉を否定しようとも、何度手を振り払おうとも、私の刺に触れて来た。
一言で胸のざわめきが声を上げる。
ざわ、ざわ、込み上げる鼓動は無音を弾いた。

悲しい、哀しい、愛しい…

独りぼっちで、悲しかった。
私は、寂しかった。
信じたくて、本当は耳なんて塞ぎたくなかったけれど。
ねぇ、何で、こんな風になってしまったの。

生まれ変わりたい。



「心はいつも、一つだよ」

だから代わりなんて無いから、リセット出来る筈だ、と。
幼子のように泣く私の隣、貴方はいつも囁くように言葉をくれた。


手を、繋ぐ。
人の手はこんなにも温かいモノでしたか?
こんなにも、愛しいと感じるモノでしたか。

貴方が与える言葉が、
体温が、
私の全てです。




心に満ちる穏やかな風の音、刺を撫でて少しずつ治まりゆく。
前を、見よう。

今度はこの手で、貴方を救えるように。

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