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桜国物語

[245]  東條朔楽  2007-04-15投稿

《約束だよ》 

桜の下で交わした甘い口付け。
優しくて淡い春風が二人をつつみこんで。
もう、春だ。

《龍くん》

彼は潰れるほどに私を抱きしめて。そう、まるで私を逃がさないように。
嗚呼、桜の花が散る。

《大好きよ》

彼の切れ長で涼しい瞳から涙がこぼれた。
泣かないで。私のために流す涙はいらない。あなたの心を痛めるのが私であってはならない。

《さようなら》

またきっと生まれ変わって、あなたの元に戻るから。悲しまないで。
彼は最後に小さくつぶやいた。
「フィアラ、ごめんな」
その憂いを含む乾いた声が、今も忘れられなくて。
嗚呼、桜が、舞い散る。



―桜国物語―\r



騒めいていた教室が、しんと静まり返った。
始めにその沈黙を破ったのは科学教師の中山。
「―…宇宙人?」それを起因にみんな騒々と口々に驚きの声をあげる。「何今の公報!」
「いたずら?」
桃も隣の白石の袖を引っ張って苦笑する。
「ねぇ、今の、何…」
白石はそのモテ顔を盛大にひきつらせて笑った。
「悪ぃ、俺なんか今の公報、地球が宇宙人にのっとられました、逃げて下さいって聞こえたんだけど…ストレスかなあ」
「うん、耳鼻科、いや、精神科行ってきたら?そんときはあたしもついてくよ…あたしも白石と同じに聞こえだから…」
それはそれは晴れた冬の朝でした。
そのおかしな公報が、あたし―桃の人生を180度変えてしまうとは、その時夢にも思わなかったのです。

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