携帯小説!(PC版)

[373]  霜月 師走  2006-02-08投稿
雨は嫌いだ。
湿っていてジメジメしていて何事にもやる気が出なくなる。僕は曇空から落ちてくる水滴をボーっとしながら見る。この静けさを破るように家の呼び出し音が鳴る。僕は仕方なく玄関へと向かい鍵を開けてドアを押す。そこに立っていたのは何年も前に海外出張に行った彼女だった。僕は驚愕して固まる。「日本に着いたら逢いたくなって来ちゃった。」と彼女はそう言って入っていい?と聞き僕は驚いたまま首を縦に振った。ソファに座っている彼女に僕は麦茶を渡す。「まだ時間かかるんじゃ…?」と僕は言葉を濁しながら彼女に聞く。「早めに仕事が片付いたの。」彼女は笑ってそう言った。「お疲れ。」と僕はそう言って笑う。「それだけ…?」と彼女が濁しながら言ったから僕はその言葉の意味が判ったので微笑って「おかえり。」と言うと彼女は僕の好きな笑顔で「ただいま」と言った。少しだけ雨が好きになった。
「…それより私がいない間に随分荒れたね?」
「あっ!!」
僕は慌てて部屋の片付けを始める。僕の耳と部屋には彼女の笑い声が響いた。

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