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MURASAME

[542]  あいじ  2007-04-17投稿
吸血鬼無想?

「なによ…あんたに何がわかるの!?」
レイナが怒りの表情を見せ、幸司を睨みつけた。彼女にしては珍しく、直情的な感情を表にだしていた。
「わかんねーよ。お前の問題なんざ知ったことかよ」
幸司はそれを受け流し横を向いてしまった。天馬が二人を制するように間に入りこんだ。
「お前らな…ここまで来て喧嘩することないだろ…ホラ、幸司も謝れって」
「うっせー、俺はコイツの考え方が気に入らないんだ」
幸司が天馬に喰ってかかった。
「何が気に入らないのよ…私達姉妹の問題にあんたは関係ないでしょう!」
「…家族とか、兄弟ってのは、離れていようが何しようがそう簡単に断ち切れないもんだろ…俺、家族いないからよくわかんねーけど、そんな簡単に殺すだ云って無理するんじゃねーよ」
幸司が一気にまくし立てた。天馬が呆れ顔で呟いた。
「ガキか…お前」
「なんだよ…いーじゃねーか!まだ、17歳だもんよ!」
二人の会話を聞いてレイナは怒りを忘れころころと笑った。ブラッドがその顔を見つめた。
「ばーか…」
「なんだよ!誰がバカだ!?」
「私は別に無理してるわけじゃないわ…家族だから、私がやらなきゃいけないの…あんたにはわかんないわよ」
レイナは笑顔だった。それを前に幸司も天馬も黙って頷くしかなかった。
「…話が逸れたな、恐らく、吸血鬼達はこの森を抜けた島の中心…霧燈神社にいる筈だ」
天馬が話を切り替え、進めた。
「あそこぐらいしかないからな…大勢の吸血鬼を収容できるところなんて」
「そこにソフィアが…」
レイナは日本刀を握りしめた。
「最後の最後で神社かよ…」
「文句言うな」
ブツブツと呟く幸司を天馬が諫めた。
「先にいくわ…情報感謝する」
レイナは再び、歩き始めた。
「なぁ…」
しばらく経って、幸司が天馬にボソッと呟いた。
「俺、あいつが笑ってんの初めてみたよ…」
「……俺も」

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