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One step vol.6

[306]  佐々木リカ  2007-04-18投稿
もう1つ、ホワイトデーの思い出。

付き合って初めてのホワイトデーだった。私はバレンタインに財布をあげた覚えがある。フミは使いやすそうだと喜んでくれた。

フミはあんまり買い物が上手ではない事を私は知っていた。ホワイトデーもお返しより、ホワイトデーを共に過ごし、私にフミの時間をくれる事が大切だと私は思っていた。


だからフミからのお返しにはとても驚いた。

中を開けてもっと驚いた。そして感激した。

私がずっと欲しかった香水が入っていた。


学生の頃、私は片道2時間かかる学校へ通っていた。課題も大変でバイトも満足にできず、欲しいものはいつも優先順位をつけなければならなかった。

フミはいつも私が欲しそうにしているのを見てくれていた。

香水をもらったことより、私を見ていてくれていた事が嬉しくて、つい嬉し泣きをしてしまった。

今では決して表に出すことはない、私の女らしい一面をフミはただ、ニコニコと微笑んでいた。

ずっとフミだけを見ていきたいと思った。

見ていられると思っていた。

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