暇の潰し方11
残された紙には『はずれ』の他に、ヒントのようなものが書かれていた。
日下部佳奈理が隠した、俺の和菓子詰め合わせの場所。そのヒントだ。
『案外と近く』
最初に貰った『普段見ない場所』というヒントと組み合わせて特定出来ないものかと考えるが、漠然としている。
「これは、しらみつぶしにやってくしかないか。」
「…そうね。」
横から俺の手中の紙を覗き見ていた高崎美玖が頷く。
その後、ゴミ箱の底だとか屋根裏だとか、とにかく教室内の滅多に見ない場所を探してみたが、見つからない。というかそんなとこに食物を隠さないで欲しい。
罠もまた、いろいろあった。屋根裏では鼠取りに手を噛まれたし、床を見回していると黒板消しが落ちてきた。「…これはもう、この教室には無いんじゃないかと俺は思うんだが。」
ミクは、そんな俺の呟きを無視して教室の後ろまで行く。
「もうその辺は探したぞ?」
そして、前を向いてしゃがんだ。
「あ。」
「あ?」
ミクは中腰のまま斜め前に指を差す。
その先には、日下部の机。
「…マジか。」
近くまで行き、屈んで中を見てみると、確かにプラスチック製の容器がある。しかし何も入ってない机だな。
容器を取り出せば、それは確かに俺の和菓子。桜餅の独特な匂いが辺りに溜まる。
「ふっふっふっ…見つけたようだな。」
どこから現れたか日下部が、腕を組んでこちらを見ている。
「うるせぇ!人様の食い物を遊びに使うな!」
「…鞄ならおーけー?」
「…あ?」
餅を口に運びながら日下部に答えた。
…鞄?誰の?
落ち着いて考えれば俺のしかないわけで。自分の机の上を見れば、
「うわ、無いし。」
と言いつつ最後の餅を食う。
「ちなみに、あんたが屋根裏覗いてる時にカナちゃんが持ってったわよ。」
「見てたなら止めろよ!?」
「今度は教室じゃないですよー。」
「言え、どこだどこに置いた。」
俺が捕まえようとすると、日下部はさらりと避けて、紙切れをひらひらさせる。
「じゃ、私は逃げますんでー。」
紙をできるだけ遠くに飛ばし、日下部は教室を出て行った。
ミクの近くをひらひらしていた紙は、今はミクの手中に。
「…ねぇ、すぐ追った方がいいと思うわよ。」
「何をだ?」
紙を見せてもらうと、
『カナリ所有』
とだけ書いてあった。
「待て日下部ー!」
追いかけっこは暗くなるまで続けられた。
日下部佳奈理が隠した、俺の和菓子詰め合わせの場所。そのヒントだ。
『案外と近く』
最初に貰った『普段見ない場所』というヒントと組み合わせて特定出来ないものかと考えるが、漠然としている。
「これは、しらみつぶしにやってくしかないか。」
「…そうね。」
横から俺の手中の紙を覗き見ていた高崎美玖が頷く。
その後、ゴミ箱の底だとか屋根裏だとか、とにかく教室内の滅多に見ない場所を探してみたが、見つからない。というかそんなとこに食物を隠さないで欲しい。
罠もまた、いろいろあった。屋根裏では鼠取りに手を噛まれたし、床を見回していると黒板消しが落ちてきた。「…これはもう、この教室には無いんじゃないかと俺は思うんだが。」
ミクは、そんな俺の呟きを無視して教室の後ろまで行く。
「もうその辺は探したぞ?」
そして、前を向いてしゃがんだ。
「あ。」
「あ?」
ミクは中腰のまま斜め前に指を差す。
その先には、日下部の机。
「…マジか。」
近くまで行き、屈んで中を見てみると、確かにプラスチック製の容器がある。しかし何も入ってない机だな。
容器を取り出せば、それは確かに俺の和菓子。桜餅の独特な匂いが辺りに溜まる。
「ふっふっふっ…見つけたようだな。」
どこから現れたか日下部が、腕を組んでこちらを見ている。
「うるせぇ!人様の食い物を遊びに使うな!」
「…鞄ならおーけー?」
「…あ?」
餅を口に運びながら日下部に答えた。
…鞄?誰の?
落ち着いて考えれば俺のしかないわけで。自分の机の上を見れば、
「うわ、無いし。」
と言いつつ最後の餅を食う。
「ちなみに、あんたが屋根裏覗いてる時にカナちゃんが持ってったわよ。」
「見てたなら止めろよ!?」
「今度は教室じゃないですよー。」
「言え、どこだどこに置いた。」
俺が捕まえようとすると、日下部はさらりと避けて、紙切れをひらひらさせる。
「じゃ、私は逃げますんでー。」
紙をできるだけ遠くに飛ばし、日下部は教室を出て行った。
ミクの近くをひらひらしていた紙は、今はミクの手中に。
「…ねぇ、すぐ追った方がいいと思うわよ。」
「何をだ?」
紙を見せてもらうと、
『カナリ所有』
とだけ書いてあった。
「待て日下部ー!」
追いかけっこは暗くなるまで続けられた。
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