悲しいおにぎり(3)
お父さんは、汗をいっぱいかいて大きな穴を掘っています。お父さんは、庭に池を作っているのでした。
「お父さん、まだ帰らないの?」待ちくたびれたももちゃんが尋ねました。お父さんは、その手を止めることなく静かに答えました。「もう、お家には帰らないんだよ。」
ももちゃんは、返事も出来ないまま立ちつくしていました。にぎっていたれんげ草は、いつの間にかももちゃんの足元に悲しげに散れています。
ペタン、ペタン、ペタン、ペタン。おばあちゃんの草履の音がももちゃんの方へ近づいてきました。「ももちゃんは、お腹がすいたんだね。待っておいで。」
おばあちゃんはそう言うと、まるいおにぎりを持ってきて、ももちゃんの手のひらにのせました。それは、冷たくて、白くて、小さなももちゃんの手のひらにあまるほどの大きなおにぎりでした。
ももちゃんは何も言わず、そのおにぎりを手に薄暗い部屋へと入っていきました。誰もいない奥の部屋は、お線香の匂いがする淋しい部屋でした。柱時計の針の音だけが聞こえるその部屋で、ももちゃんは積み上げられた座布団にそっともたれました。そして、手のひらの冷たいおにぎりを小さくかじりました。
「お父さん、まだ帰らないの?」待ちくたびれたももちゃんが尋ねました。お父さんは、その手を止めることなく静かに答えました。「もう、お家には帰らないんだよ。」
ももちゃんは、返事も出来ないまま立ちつくしていました。にぎっていたれんげ草は、いつの間にかももちゃんの足元に悲しげに散れています。
ペタン、ペタン、ペタン、ペタン。おばあちゃんの草履の音がももちゃんの方へ近づいてきました。「ももちゃんは、お腹がすいたんだね。待っておいで。」
おばあちゃんはそう言うと、まるいおにぎりを持ってきて、ももちゃんの手のひらにのせました。それは、冷たくて、白くて、小さなももちゃんの手のひらにあまるほどの大きなおにぎりでした。
ももちゃんは何も言わず、そのおにぎりを手に薄暗い部屋へと入っていきました。誰もいない奥の部屋は、お線香の匂いがする淋しい部屋でした。柱時計の針の音だけが聞こえるその部屋で、ももちゃんは積み上げられた座布団にそっともたれました。そして、手のひらの冷たいおにぎりを小さくかじりました。
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