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スプラッタ殺人5

[879]  森田  2007-04-21投稿
今まで大人しかった警官の面が鬼の形相に変わる。


「立場をわきまえろつってんだろ犯罪者!とりあえず刑事さんて呼べよな、刑事さんて」

怒鳴られてしまった。

「……………」


うっかり口を滑らさないように気をつけよう。


「おいおい、無愛想な犯罪者だな。そんな態度もいつまで持つか」

刑事が、歪んだ笑みを浮かべた。


落ち着いてはいるようだが、俺への怒りは消えていないようだ。


しかもいつの間にか犯罪者に昇格だ。


「あんたらがなんと言おうが、俺は知らない」


警察の予断と思い込みによる捜査の恐さ、それを俺は身に染みて知っている。


状況がどう動くにしても、身の潔白だけははらしたい。


夜のバイトに間に合えばいいんだが…。












それから五時間後。


「倉冨、帰っていいぞ」


そろそろ日も傾きかけた頃だった。取り調べ室に現れた警官は、やる気の無さそうな声で告げた。


「犯行時にお前が現場を離れていたことは,確認がとれた」


「ハァ…やっとかよ…」


長かった…本当は始めから知ってたんじゃないのだろうかと思う程に。


俺の言葉に、尋問していた刑事が憎たらしげに舌打ちをした。


刑事の質問は、取り調べと言うより精神的な拷問に近かった。


犯行時の行動を、何度も繰り返し供述させられる。


少しでも矛盾があれば、その部分を指摘して執拗に責めつづける。

取り調べの作業として、よくある種類のものだが……。


やはり好きになれない。


「そう言うことみたいだな、帰っていいぞ、お疲れ」


残念そうに、向かいの刑事が言う。


謝罪を期待したが…まぁ見るところありえないか。


疲れた身体を引き摺って、俺は取り調べ室を出た。

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