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年下の彼1

[805]  カトリ  2007-04-21投稿
高校3年の夏休み、航と初めて会った。


彼は、弟の友達。中学2年生でまだ子供っぽさが残る男の子だった。


あの頃は、まさか彼が恋愛の対象になるだなんて思いもしなかったのに、今では航なしでは私は生きていけないだろう。
うちは、共働きの両親と弟の正希(まさき)、そして私(優希)の四人家族。

夏休みのある日、朝早くから、母に起こされた。
「優!起きて!!」
肩をたたかれ、布団をめくられる。

「…ん〜。なに?」

「正希が今日から合宿に行ってるんだけど、スパイク忘れていったの。まだ学校にいるはずだから、急いで届けてあげて!」

「…めんどくさい…ママが行きなよ…」

ボス!!
スパイクを投げ渡す。
「もう、仕事に出なくちゃ行けないのよ!よろしくね!」

そういうと、母は優希の部屋を後にし階段を駆け降りていった。

しかたなく、優希はベッドから降り、身支度をした。
白いノンスリーブのワンピースにミュールを履く。スパイクの入ったシューズバッグを持つと、玄関を出た。
正希が通う中学は、優希の出身校でもあり、自宅から歩いて5分ほどの所にある。

少し歩くと、マイクロバスが一台見えた。
《△△中学サッカー部 御一行様》

優希は正希の姿を探すが見当たらない。
「あれ??正希のお姉さん?」

振り替えると、サッカー部のジャージをきて大きな荷物を抱えた少年が立っていた。
「あの〜。正希います?」

「正希なら、もう、最初のバスで出発しちゃいましたよ。そのスパイク、預かりますよ。」

「…ありがと。それじゃあ、お願いします。」

優希はスパイクを少年に手渡した。
「確かに、お預かりします。」

「あっ!名前教えて!今度お礼するね!!」

優希は呼び止めた。

「お礼なんていいですよ!
俺、阿久津 航っていいます。それじゃ。」

航は、バスに駆け乗った。

航は私のことを知っていた。今までどこかで会ったのかな…。正希の友達なら家に来ていたのかもしれない。

優希はバスを見送ると、学校を後にし家に向かう。携帯が鳴る。
「もしもし?圭吾?」
『優、おはよ。これから行っていい?』
「うん。いいよ。」

優希は夏休み中、彼氏を毎日のように家に呼び、部屋にこもっていた。

感想

  • 6876: 文章がすごくうまい。 [2011-01-16]
  • 7078: そうか?? [2011-01-16]

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