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過ぎゆく時の中で〜vol・3

[623]  真希  2007-04-23投稿
事務所から指名を受けた俺が、向かった先は億単位の立派な家屋が建ち並ぶ高級住宅街だった。
立派な観音扉が自動に開くと、玄関まで誘導する大理石が数メートルあり、日本庭園が一望できる広さだった。
恐る恐る、お手伝いさんらしき人に案内され、長い長い廊下の先に銀の鉄扉が見えた。

「ここは奥様が交友関係の方と使用するお部屋です。」

そう言うとお手伝いさんは、扉を真っ直ぐに見据えた。
素材を生かした和風住宅とは似つかない、その場所は防音設備がしっかりとした打ちっぱなしの怪しげな地下室だ。
行儀しく重い二重ドアの扉の先は、まるで現実の世界から別世界への誘いのように感じた…。

驚く事にそこは体温をも、奪い去りそうな剥き出しの鉄の部屋。足元がヒヤリと冷たく、暗い部屋には観察照明が天井から、淡い光を出している。他には何も聞こえない無の空間の様なその部屋は、俺の恐怖心を仰いだ…。
「何してるの!早くこっちに来なさい!」
暗がりの中から、ハッキリとした口調で女性の呼ぶ声がした… vol.4に続く

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